悠真の初恋編

第40話 悠真の初恋物語 その1


 次の日の午後



 あー、外にずっと居ると頭ボーっとしてくるよ。今年の夏は去年より暑いってニュースで言ってたけど、……ソレ、毎年言ってない? 運動部の部活の人とか大丈夫なの? まぁ、俺はこの後、冷房の効いた部屋でマリアさんとまったりするんだけどねー♪


 今日はマリアさんとレッスンという名のハッピータイムの日だ! 家を出て数分、早くも汗だくになりながらマリアさんがやってるドラム教室まで早足で歩く。あちぃー


 そーいや高樹さん、今日からバイトだったっけ。未来姉と二人で店に居たら口コミとかでお客さん増えるんじゃないの?



 ※



 「こんにちはー!」


 マリアさんが働いてる音楽教室は地下一階にある。ちなみに一階と二階は楽器店で三階はギター教室という音楽ビルだ。俺はタオルで汗を拭き、消臭スプレーを全身に吹きかけて扉を開けた。


 「おーっ、悠真! 暑いのに元気だなー! コーヒーとコーラどっちがいい?」


 「それじゃコーラで! これ以上外に居たら溶けますよー!」


 足のリハビリも終え、すっかり良くなったマリアさん。今年の夏はメジャーデビューもしたし、全国各地でフェスに参加するみたいだから、今日でしばらくドラム教室は休みにするらしい。あー、俺の癒しタイムが……。


 勿論喋ってるだけじゃないよ! 俺はこの間のシンちゃんが作ったデモテープをマリアさんに聞かせて、その後で叩いて見せた。



 ドドド、ダダン♪ ドタドタ パシーン♪



 「ふーん、UKロックだねー! このギターボーカルがイギリスから戻って来た彼ね♪」


 マリアさんはヘッドホンをしながらウンウンと頷いた。そしてドラムスローンに腰掛け、曲に合わせて叩き出した。


 ツッタ、ツツタッ、ドクドゥンパシーン♪


 「……私ならこんな感じかな? リズムパターンはそれで良いと思うよ、後はベースとの兼ね合いだけどもっと手数増やしちゃいたいよね♪」


 

 ※



 「それじゃあ、これからはみっくとその彼と三人でやってくんだ?」


 マリアさんはタオルで汗を拭き、ペットボトルのミネラルウォーターを飲みながらまたデモテープを聞いている。


 「うん、未来姉が文化祭でバンドをやるから、それが終わったら本格的にやろうと思ってるよ! それまでは三人で曲を作ったりって感じかな?」


 俺もさっき貰ったコーラを飲み干して、新しくウーロン茶を冷蔵庫から取り出した。


 「悠真は私が高校の時に比べても全然上手いからねー! これからもっと上手くなるだろうし、そのバンド、楽しみだね♪」


 クシャッとした笑顔を見せるマリアさん、本当可愛いなー! 童顔だから年が八つも上な感じがしないんだよね。


 「そー言えばロットって、高校ん時の軽音部の集まりなんですよね?」


 「そーよ、私とエリス(B)が同い年で、ジャンヌとアリエル(G)とミーシャ(Key)が一個上でね。……懐かしいなぁ、高校の文化祭で盛り上がったからみんなでその気になっちゃってね、それでそのまま年を取っても続けてたらメジャーデビューよ! 本当人生何が起こるか分からないわね♪」

 

 そう言って懐かしそうにして微笑むマリアさん。それでもここまで来るのに相当苦労したんだろうな……。


 「マリアさん達の高校の文化祭の映像とか無いんですか? あったら見てみたいなー!」


 「うーん、……あるけど恥ずかしいなぁ。今の悠真達より全然下手だし、五人共制服着てるのよ! ジャンヌなんてポニーテールだし♪」


 クククと笑うマリアさん、ジャンヌさんもだけど制服姿のマリアさん見たいなぁー♡


 「マリアさんとは夏休み中会えないんですよね? あーあ、寂しいけどそれ見たら元気出るのになぁー?」


 そう言ってチラチラッとマリアさんを見てると……、


 「何、その子犬の様な目は? もぉーっ、悠真は甘え上手なんだからー! そんな調子の良い事ばっかり言って女の子にちょっかいかけてるんじゃないのー?」


 「そんな事しないですよー(苦笑)今はもっともっと上手くなって二人に置いていかれない様にしないと!」


 ちょっとムキになって言ったら、マリアさんも『あー私もそう思って練習してたわ!』なんて言って笑っていた。……俺ってチャラい奴に思われてないかな?


 するとマリアさん、スマホをポチポチしながら、


 「じゃあ悠真、えーっと、……明後日空いてる? ご飯でも一緒に食べようか? リハビリとか手伝ってくれたお礼もしたいからさ、その時に高校の文化祭のDVD見せてあげるよ!」


 「そ、それってマリアさん家でっ!!」」


 「そーだけど? あー、外で焼き肉とかの方が良い?」


 うわー! マリアさん家で二人っきり? 


 「とっ、とんでもないっ! 是非っマリアさん家で!」


 するとマリアさん、ニヤニヤしながら、


 「悠真ーっ、今イヤらしい事考えたでしょーっ? 顔赤いよー! 言っとくけどウチ、妹もいるからね! 残念、残念っ♪」


 「そっ、そりゃ、俺だって男だからねっ! いきなり部屋にって言われたら勘違いするよーっ!」


 あー恥ずかしい! この部屋冷房の効いて無いんじゃない?


 「ダーメ! 悠真は私にとって可愛い弟みたいなモノだから、間違ってもそういう事にはならないわよ♪ …………それとも、私とえっちな事、……したいの?」


 ドキッとする位、妖艶な目つきで俺を見るマリアさん。でもすぐにいつもの童顔に戻って、


 「あはははっ♪ 思春期男子には刺激が強すぎたかなぁー!」


 「もーっ、揶揄わないで下さいよーっ! でもマリアさんでも色っぽい顔とか出来るんですねー♪」


 「へぇー、悠真っ! 生意気な事言ってこのーっ!!」


 そう言ってマリアさんは俺の後ろに回ってヘッドロックをしてきた。てか、苦しいけど背中に柔らかいモノが当たって……、この人年上だけどそーゆーの無頓着なんだよなー!

 



 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

  コメントの返信は日曜日になります



 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 えー、今週一週間は悠真の初恋物語です(笑)


 これが終わったらラブコメも一段落、そろそろ音楽の話をしていきますので皆様、離脱しないでねー!



 本日のおススメ


 Lenny Kravitz /Mama Said


 レニークラヴィッツの2枚目のアルバム!

 

 世間では3枚目のアルバム『自由への疾走』の方が有名かもですけど、私はこっちが好き♡

 

 ♪ It Ain't Over 'Til It's Over


 https://youtu.be/TmENMZFUU_0?si=qLHR_DSVpihLo_lu

 

 何気に私はゴリゴリロックよりこういう方が好きなのです♪

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