第39話 未来姉と朱里紗


  「それでは明日から宜しくお願いします!」


 高樹さんが丁寧にお辞儀をしたのを見て茜さんが、


 「はーい宜しくね! それと明日からは友達感覚でいーからもっと気楽に喋りましょ!」


 そう言って手を振り厨房に消えて行った。この人が店長だとスタッフのみんなは仕事がしやすいだろうなぁと思うよ。


 「ねぇ朱里紗ぁー、今日はこの後用事とかあるのー?」


 出会って小一時間で未来姉のこの距離の詰め方よ! 


 「いえ、特に何も……

 言い終わらない内に被せて来た!


 「じゃあさー、ウチでご飯食べて来なよ! みんなで食べると美味しいよー♪」


 「ちょっ、ちょっと未来姉っ! 流石にいきなりそれは迷惑……

 高樹さんがそんな事言わせないとばかりに食い気味に被せて来た!


 「わーい、嬉しいーっ! みっくさんありがとうございまーす! それじゃお言葉に甘えて♡」


 えーっ? 高樹さんキャラ変わってない?



 ※



 「それじゃー、お邪魔しまーす♪」

 「あー、適当に座ってー、麦茶でいい?」


 ……なんかグイグイくるなぁ高樹さん。ラノベのタイトルみたいだよ。


 とりあえずリビングに案内してソファーに腰掛けたら、未来姉はニヤニヤしながら麦茶を持って来た。


 「みっくさん、晩御飯の準備、私も手伝いますっ!」


 「だよねー、だよねー! 手料理食べさせたいよねー! わかるよー♪ 悠真ーっ、出来るまで自分の部屋行ってなよ! これからガールズトークするんだからー♪」


 ……あーぁ、高樹さん捕まっちゃったよ! って言うかノリノリ? 本当未来姉は誰とでも仲良くなれるよなー!


 ん? ……て事は俺、高樹さんの手料理食べられるのか? こんなのクラスの奴ら、イヤ、学校中の男達敵に回すんじゃないか?


 「でねー、〇〇がさー、〇〇するのよー!」

 「えーっ、〇〇なのにぃー?」



 打ち解け方がハンパないなー、でも高樹さんってあんなに明るい子だったんだな! ……それじゃ俺は部屋で全裸待機だ!←ウソだよ!



 ※




 『ご飯出来たよー!🍖』

 『んー、今から行くー🏃‍♂️』


 「んふふー、すぐ既読つくー♪」

 嬉しそうにスマホを抱きしめる未来姉。


 「……誰か来るんですか?」


 「んー、内緒♡」


 「じゃあ、私も♪

 『悠真くん、ご飯出来たよ🍚』ポチッと」


 『り』


 「えーっ、みっくさん見てくださいよー! 酷くないですかー?」


 未来姉はスマホを見せてしゅんとする高樹さんの頭を撫でながら、


 「ごめんねー、ヨシヨシ! 後で言って聞かせてやるからっ! あはははっ♪」



 ※




 リビングに入るとハンバーグのデミグラスソースの匂いが立ち込めていた、うまそー!


 そこへすかさず未来姉が、


 「悠真ーっ、返信はちゃんとしないと今度からご飯抜きだからねーっ!」とか言ってプンスカしてた。……ん? 高樹さん、さっきの返信見せたのか? そんな中、


 「くんくん、おーっ♪ 今日はハンバーグかっ! やったぜ!!」


 小学生の様なリアクションでシンちゃんがドタドタと靴を脱ぎ捨て上がり込んで来た。そこに……、


 「あっ、お邪魔してます♪」

 「Who are you? 初めまして、……だよね?」


 急によそ行きの顔になったシンちゃん(笑)


 「明日から地下のカフェで働く事になった、悠真くんの同級生の高樹朱里紗です。これからどうぞ宜しくお願いしますっ♪」

 

 「おーっ、悠真の同級生かっ? ちゃんとしてるし大人っぽいからてっきり未来の部活の先輩かと思ったよー!」


 あー、シンちゃん気付いてないの? 未来姉睨んでるよー!


 「しかも赤眼鏡かー! うん、Cute! 良く似合ってるね♪」


 甘ったるい声を出して優しく肩をポンポンした。……シンちゃん、後ろ後ろっ!


 ゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴ……


 「あーっ、いつものクセで三人分しか作って無いやー! ……シンジはカップ麺ねー♪」


 ニコニコしながら未来姉はシンちゃんの席にドンッとカップ麺を置いた。目が笑ってないよー!!

 

 「んだとー! お前っ、俺がどんだけハンバーグ好きだと思ってんだ? おいっ、悠真半分よこせっ!」


 えーっ、なんで俺のハンバーグ?


 「悠真っ! 絶対あげちゃダメなんだからねー! さっ、朱里紗一緒に食べよー♪」


 ……高樹さん二人を交互に見てオロオロしてるよ! もー、しょうがないなぁー⤵︎


 俺はシンちゃんに何度もウインクして、


 「でも、やっぱり眼鏡は未来姉が一番似合ってるよねー! かけてもかけなくても可愛いなんて凄いよねっ、シンちゃん!」


 「おっ、おー! やっぱり眼鏡と言ったら未来だし、未来と言ったら眼鏡だよなぁ、ベース弾く時しか見られないなんてもったいないよー!」


 ……シンちゃん、棒すぎだよー!


 「そっ、……そうかなぁ♡

 アレーッ? こんな所にハンバーグ残ってたぁー! そーだそーだ、夏休みなのに明日のお弁当にって間違えて多く作ったんだったぁー!」


 ……あれ、未来姉、チョロ過ぎませんか?


 「ほらっ、シンジっ! 冷めないウチに食べよー♪ 早く早くー!」


 嬉しそうにシンちゃんの手を引いて椅子に座らせる。


 「腹減ったー! 未来のご飯は何でも美味いからなー♪」


 「んふふー、ご飯大盛りもりもりー♪」


 ……あっ、そーゆーのはサラッと言えるんだ。ん? ……今度は高樹さんがジト目で俺を見てる。


 「悠真くんは、やっぱりシスコンなんだ。お姉さんの眼鏡姿が一番なんだね……」


 えーっ、そこー? 面倒くさいなー⤵︎


 中指でクイッとブリッジを持ち上げて、


 「みっくさん、悠真くんカップ麺がいいみたいですよー!」


 未来姉は涙目の高樹さんをなだめる様に頭を撫でながら俺に向かって

 

 「あははーっ、ほらっ、悠真謝りなさいっ! アンタは女心が分かって無いのよー!」



 ほらーっ、結局俺が一番被害被るんじゃん!

 




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

  コメントの返信は日曜日になります



 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 さぁ、明日からの1週間はまるまる『悠真の初恋物語』編です。もうバンドいつやるんだよー?



 本日のおススメ


 ジャミロクワイ/トラベリング・ウィズアウト・ムービング〜ジャミロクワイと旅に出よう〜


 はい、ジャミロクワイです。初めて聴いた時、なんてお洒落な音楽なの? それを聴いてる私イケてるんじゃない? なんて思いましたよ(恥)


 『ヴァーチャルインサニティ』等が入ったメガヒットアルバム!! とにかくお洒落なアシッドジャズ/ファンクにジェイ・ケイのスティービーワンダーみたいな甘い声が最高っ! 

 異性と深夜のドライブなんか行ってコレかけらたら……♡


 コレは3枚目のアルバムだけど2枚目の『スペースカウボーイの逆襲』も大好き! 迷ったけどこっちの方がメジャーな気がしたのでおススメします♪

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る