それぞれのの日常回編 その1

第34話 シンちゃんの個人レッスン♪


 転入してから一週間が経ち、動物園のパンダ🐼状態が落ち着いてきたが、このクラスはちょっとおかしい。


 休み時間の度に誰かどうかやって来て話しかけて来る。まぁぼっちになるよりマシだけど、話の内容は未来との事ばかりだ。


 「浅井くんってぇー、……未来ちゃんと付き合ってるんでしょ? 

 いつもお昼居ないと思ったら隣のクラスで愛妻弁当食べてるって聞いたわよ♪」


 昔だったら(うるせーな! んなのどーでもいーだろ? ガキん時から一緒に遊んでたんだから弁当位食べるだろ?)……なんて言っただろうけど、もう大人だしー!


 「Well、付き合ってはいないけどね。未来とは家が近所だし、俺、父親と二人暮らしだからわざわざ弁当作ってくれてんだ」


 「そーなんだー、じゃあ今はフリーって事でいいんだよね?」


 それを聞いた周りの女子達がキャーキャー言ってる。……ん? 俺、そんなにモテてたっけか? イギリスから戻って来て英語喋れるから珍しいだけだよな、コレ。


 「あっ、Sorry、未来とバンド組んでるから忙しいし、別に彼女作るつもりはないよ!」



 「「「「「えーーっっ!!」」」」」



 ……あー、何か面倒臭くなってきた。


 年上とばっか一緒に居たから同級生ってどうやって仲良くなるんだ?

 俺は未来達とバンドがやれてライブハウスに出られたらそれだけでいーのに。



 ※


 

 ー夕食後、未来の家のリビングー



 うーん、中々思う様にいかないなー、正直歌は自信無いんだよな。出来ればギターに専念したい所だけど、そうしたら悠真に負担がかかるし、メインボーカルがドラムってのもちょっとな……。


 

 曲作りが完全に行き詰まっていた。


 今まではジェスが歌詞を書いたらそれに俺が曲をつけるって感じでやってたけど、いざ自分が歌うとなると何作って良いのか分からなくなってしまった。


 ……まぁとりあえずあせる事はないから夏休みの間ボーカルの練習しよう。




 「……ねぇ、聞いてる? ねぇってば!」



 気がつけば未来がプンスカしていた。


 「Oh、Sorry! ごめんごめん、考え事してた。どーかしたのか?」


 今日も夕食をご馳走になって、悠真が洗い物してる間につい考え込んでたよ、目の前に未来が居るっていうのに。


 「あのね、この間音楽室でやった時にギターを貸してくれたあーちゃん覚えてる?」


 「あー、あぁ、顔まで覚えて無いけどな」


 「もーっ(苦笑)ちょっと行き詰まってるみたいなんだけど、シンジ、ギター教えてあげて欲しいんだよねー」


 あー、ここにも行き詰まってる奴がいるのか(苦笑)こういう時こそ初心に立ち返るのもアリかもしれないよな。


 「OK、わかった! 明日の放課後音楽室に行くよ」


 「やったー! あーちゃん喜ぶよー!」



 ※



 ー次の日、音楽室ー



 悠真も誘ったんだけど、なんか今日はレッスンがあるらしい。ウッキウキで帰ってったけど、レッスンってそんなに楽しいか?←マリアさんの存在をまだ知らない


 音楽室にはみっくを始め、ドラムの市川(いっち)さん、キーボードの内海(うーたん)さん、ボーカル&ギターの遠藤(えんどー)さん、それに今回教えるギターの浅川(あーちゃん)さんが待っていた。どうやら今日は二年生の練習日みたいだ。


 「「「「宜しくお願いしまーす♪」」」」


 未来以外の四人が挨拶して迎え入れてくれた。みんな可愛いし、なんか照れ臭いな。


 未来は左利きベースを手に取りベシベシ弾き出した。 やっぱり弾き始めて一週間って考えたらすげーよな。


 「じゃあシンジ、一曲通してやってみるから聴いてて!」


 赤眼鏡をかけた未来がそう言うと、ドラムがカウントを取り始めた。うん、やっぱ未来は眼鏡が似合うな♪



 ♪〜♪、♪〜♪ーーー♪〜♪、♪〜♪



 うん、うん。未来が引っ張ってるからドラムはリズムキープだけに専念してオカズを無理に入れない感じだな。キーボードもいるからリズムさえキープ出来れば普通に聴ける。


 ギターは、……いきなりタブ譜見て始めた感じだよなー。こういうの見るとやっぱ師匠が言った通り基礎は大事だよな。


 「あーちゃん、ちょっと来て!」


 手招きするとあーちゃんは少し怯えた様に強張った顔で近付いてきた。


 「右手と左手がバラバラになっちゃうね、ソロパートは弾くのに必死でリズムがずれちゃうし」


 「そうなんです! ……何か良い練習方法ありますか?」


 あーちゃん、すがる様な目で聞いてくる。このバンドの中で自分が足を引っ張ってるって分かってるんだろうな。


 「そーだなー、まずは深呼吸してリラックスして! 家で空いてる時間にとにかく右手と左手の練習をしよう。メトロノームを使って、最初はこの位のテンポで……」


 俺がお手本で弾いてみせる。左手の指の動きに合わせて右手は単音をアップ、ダウンピッキングをして六弦から一弦に降りていく。


 「自分でキチンと音のなるテンポでいいからやってごらん、それが出来たら少しずつテンポを上げて行くんだ、これを夏休みの間、真面目にやったら全然違ってくるよ」


 「はっ、はいっ!」


 「で、もう一つはカッティングの練習だね。

 力任せにかき鳴らしても良い音が出ないし、疲れて来たらリズムも狂うからね。


 自分の好きなコードで良いから押さえて、右手はピックを柔らかく持って、力を抜いて……手を洗った後に水を切る様な感じでアップ、ダウン…………。


 うーん、なんか違うな。


 ちょっとごめん、こんな感じで……」


 「…………あっっ♡♡」


 あーちゃんっ! なんて声出してんだ?


 「ちょっとシンジっ! 何であーちゃん後ろから抱きしめてるのっ?」


 未来が真っ赤になって怒ってる。何だ?


 俺はあーちゃんの後ろからネックを持ち、抱きしめる様な形であーちゃんの右手を握り上下に振り弦を鳴らしていた。


 「ちょっと、……顔がっ、近いですっ!」


 あーちゃんが真っ赤になって言うから、


 「でも、……こうした方が分かりやすいだろ? 師匠は俺にこうやってくれたんだよ」


 (※ その時シンジはまだ子供だったからリチャードに後ろから手を添えて教えてもらっていた)


 「もぉーっ、ダメぇーーっっ!!」


 未来が必死に引き剥がしに来た。何だよ、せっかく教えてやってるのに!


 「あーちゃん、それをメトロノーム使って毎日録音してやってごらん、そしたら休み明けにもう一度聴かせてよ!」


 「はっ、はい♡ 私っ、頑張りますっ♪」



 うんうん、あーちゃんは素直だしふわっとしてて可愛いよな! おっぱいも大きいし。

 

 ……んっ? 


 未来がなんか怖い顔してるけど、……腹へってるのかな?




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

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 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 すっかりシンちゃんにメロメロにされてるキャラになってしまったあーちゃん(脳内cv古賀葵ちゃん)、夏休み中頑張ってシンちゃんの言う事を聞き練習に励みます。


 最初は好きな曲をカバーしてるのが楽しいからそれで良いと思うけど、両手の練習、カッティングの練習はゆっくりなテンポでいいからメトロノーム使って録音しながらしっかりやった方が良いよね。


 すると、驚く事にある日突然指が動く様になります! ←これ本当



 そしてシンちゃん、未来とあーちゃんとの三角関係はどーなる?←ないない

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