第22話 バンド結成!!


 俺の初ステージから三ヶ月が経った。


 店の手伝いやステージに立って演奏するのにも慣れて来たし、最近では師匠抜きの四人でステージに立つ事も珍しく無くなってきた。


 「なんかジェス、シンジが入ってから変わったよなぁー」


 師匠がそう言うと、


 「だよなぁ、ちょっと前までベロンベロンで店に来て二、三曲歌ったら後はカウンターで寝てるかトイレで吐いてたもんな」


 「まぁ、それでも歌声が圧倒的だし、破天荒な感じがウケてたから許されたけど、アレは酷かったよな……」


 ビルとチャーリーも口を揃える。


 「だってさー、シンジィはこんな可愛くてギターも上手くて、なんか弟みたいなんだもん、私だってしっかりしないとだよ!」


 ジェスが俺の腕に抱きついて、照れ臭そうに言った。おいっ、胸当たってんぞ!


 最近のジェスは開店前から掃除や買い出し、リハーサルにも顔を出す様になった。


 髪の毛もボサボサだったのに、今はウェーブがかかった金髪が綺麗になびいている。ケバケバしい化粧もナチュラルメイクで年相応の可愛い女の子に変わっていた。


 「それでね、私、……ちょっと真剣にバンドやりたくなったんだ。歌詞も書いてるんだけどさ、オリジナル作ってみんなでライブハウス出てみない?」


 ジェスからの思いがけない提案に驚く俺達、だけど師匠は俺達四人を見回して、


 「俺は店でたまに演奏する位で、後はカミさんと店やってるよ。お前達は若いんだから、カバーばっかりじゃなくて自分達の音楽をやってみるのもいいんじゃないか?」


 「俺は構わないぜ! どうせやるならオリジナルで勝負しないとな!」


 チャーリーは鼻息を荒くして、腕に力こぶを作って見せると、


 「そうだね、今のジェスなら俺もやってみる価値があると思うよ!」


 静かに闘志を燃やすビル。対照的な二人だ。



 「シンジィは勿論やるよねっ!」



 ジェスは俺の両手を掴み、ウインクしながら言うので俺もジェスの手を握り返し、


 「当たり前だろ! やってやるぜーっ!」

 「やったぁー! 頑張ろうねっ♡」


 だからチューすんなって! なんで俺にだけすんだよっ!


 

 ※

 


 それからの俺達は、いつものカバー曲に加えてオリジナルを作っては店で披露していった。


 ジェスのハスキーボイスは俺達の作り出すブルージーなロックと相性バッチリで、いつしか彼女は『リトルジャニス』と呼ばれる様になっていった。まぁバンド名も『Pearl Blue』だしね。


 ※ Pearl……ジャニス・ジョプリンの最後のアルバムタイトル



 初ステージから一年が経ち、俺は中学三年になり、身長も百七十センチに伸びた。


 ギターの腕も、師匠に言われた基礎練を欠かさずにしてるし、何よりみんなで音を重ねる事で飛躍的に上達した、……と思う。


 そしていよいよ曲のストックも出来て、俺達は店を飛び出し、各地のライブハウスに出ていったんだ。


 


 ※




 ジェスのパワフルでハスキーな歌声に、どっしりとしたリズム隊を肌で感じて、俺のギターは水を得た魚の様に自由奔放に弾けまくっていた。


 いつもの店での雰囲気とは違い、知らない土地でのライブは見ている人の反応がダイレクトに返ってくる。



 「おーっ、ボーカルの子、カッコいいな!」


 「ギターの兄ちゃん、若いのに上手いぞ!」



 俺達のバンドは観客を増やしながら少しずつ行動範囲を広げていった。


 そんな感じで俺の中学生活はほとんど店とバンド活動だったから、学校の思い出とか同年代の友達は皆無だった。

 そしてますます俺はギターにのめり込んでいったんだけど、……アイツはどうなんだ? 


 悠真の話じゃ自分の店でちょこちょこと演奏してるみたいだけど。それに、……なんかすげぇ可愛くなってるみたいなんだけど、悠真のヤツ、画像送って来ないからムカつくんだよなー。




 ※




 高校生になった俺は、肩にかかっていて女の子みたいと言われていた髪を切り、髪を茶色く染めてすっかり男らしくなった←自称


 そしてメンバーに、あと一年ちょっとで日本に戻る事を伝えた。

 

 みんなには俺だけこっちに残ってバンド続けないか? と言われたが、俺がギターを始めたのは日本で俺の事を待ってる奴とバンドを組む約束をしたからだ、と言うと納得してくれて、今の内に新しいギターを探そうと言う事になった。

 

 そしてロニーという人懐っこい笑顔の二十歳の男が加入し、俺が抜けるまでの一年間『Pearl Blue』は五人編成のR&B、Bluesを基調としたロックバンドになった。


 それと同時に、日本に帰って三人でやるなら歌もやらないとな! って事でビルとチャーリーと三人で、ジョニーウインターやスティビーレイヴォーンのカバーを店で演奏していた。


 まぁこんなガキがブルースをやって渋い声を出せる訳も無いので評判はあまり良くなかったんだけど⤵︎


 うーん、それを差し引いても歌はちょっと苦手かな? 日本ではアイツか悠真に歌ってもらおうかな……。

 



 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

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 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 新しくロニーが加入していよいよニセストーンズ&ジャニスになったシンちゃんバンド(笑)


 シンちゃんはみっくと悠真に比べて圧倒的に場数を踏んでいきます。今までの基礎練がここでめちゃくちゃ生きてる上に、ライブを重ねて臨機応変に対応出来る様になりました。そして師匠やロニーとツインギターのバンドをやる事で役割分担、押し引き等を学んでいます。


 そして日本に帰ってからの為に3ピースでギター&ボーカルをやるのですが……、ブルースはシンちゃんの声には合わなかったですね、やっぱり渋い声じゃなきゃ!


 そして次話で『シンちゃん編』は終了です。ここを長くしたら違うお話になっちゃうからね!


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