第14話 やっぱり私って冴えないかなぁ?


 (なっ、……何なの? この二人? 前に居たバンドより全然上手いわ!)


 俺はリズムパターンをいくつか試していき、未来姉もそれに合わせてルート弾きから色々アレンジを加えていった。


 「それじゃ彩ちゃん、このテンポに合わせて歌入れしてみてよ! ギターはストロークでいいからさー、歌重視で♪」


 未来姉がそう言うと彩さんはスタンドに立てかけてあったエレキギターを取り、


 「二人共、おっ、お願いしますっ!」


 と頭を下げた。……ん? ちょっとは見直してくれたのかな?


 「それじゃいくよー!」


 カンッ、カンッ、カンッ、カンッ♪


 


 ※




 最初に聞いたアコースティックな感じよりテンポを早めてバンドサウンドになり、彩さんの歌声も相まって爽やかな疾走感のある楽曲になった。後ろを支える俺達も歌が心地良く聞こえる様に、あまりオカズを増やさずにシンプルにして、サビの部分で一気に盛り上がる感じにしてみた。


 「凄いよ二人共っ! 歌ってて気持ちぃー♪」


 「それじゃ次は間奏どーする? 彩ちゃんギターソロ弾く? それとも私やろうか?」


 「私、そこまでギター上手く弾けないからみっくにお願いしようかな?」


 「了解ーっ! じゃあ悠真も好きな様にオカズつけちゃっていーからねー♪」


 そんな感じで今度は通しでやってみた。


 間奏は彩さんがコードをバッキングしている中、曲の雰囲気を壊さない流れる様なベースソロにちょっと手数の多いフィルインで盛り上げる。


 


 ※


 


 「凄いっ! 自分の曲がこんな風になるなんてビックリだわ! 二人共ありがとう!」


 彩さんに改めて頭を下げられた。


 「彩ちゃんの歌声って、爽やかなんだけど、ちょっと切ない感じもしてエモいよねー! これで元カレのバンドをぶっつぶしてやろー♪」


 「みっくーっ! 元カレとかじゃないからーっ!」


 あはははっ ははははっ♪


 

 「だけどね、彩ちゃん。もう少し自信持って歌った方がいいよ! 良い声してるんだからもったいないよー!」


 うん、未来姉の言う通りだ。なんか自信無さげなんだよね、どうしてなんだろう。


 「うん、……わかってるんだけどね」


 そう言ったっきり、彩さんは下を向いてしまった。




 ※




 「じゃあ、ちょっと休憩しようか?」



 そう言って未来姉は冷蔵庫からペットボトルのスポーツドリンクを取り出して俺達に投げた。


 「サンキュー、未来姉♪」

 

 キャップを開け、ゴクゴクと一気に飲み干すと、冷たい液体が乾いた喉を癒してくれた。


 「……ところで彩さん、その発表会っていつなんです?」


 彩さんも半分程一気に飲んだ後にタオルで額の汗を拭きながら、


 「あと二週間後よ。当日はオリジナルを二曲みんなの前で演奏して、どのバンドが良かったか投票で決めるの! 別に優秀賞とか欲しい訳じゃ無くて、……なんかこのままじゃ学校に居辛いから」

 

 「そこで彩ちゃんがガツーンとやればみんなの見方も変わるかもねー♪ 悠真っ、気合い入れていくよー!」




 ※




 「ねぇ、みっく、……やっぱり私って『冴えない』かなぁ?」


 練習後、後片付けを済ませ帰る間際に彩さんが聞いてきた。



 彩さんは服装も暗い色が多いし、髪型も黒髪で肩にかかるくらいの伸ばしっぱなしみたいな感じだ。……正直な所、顔は可愛いけど地味な印象だ。スタイルも良いのに勿体ないよなー。




 「うーん、私は今のままの彩ちゃんでもいーと思うけど、垢抜けたいなら髪型やメイク変えて見たらどーかな?」


 彩さんは未来姉の髪を見ながら、


 「みっくの髪色、綺麗よね! ……私も髪染めてみようかなぁ?」


 「えへへ、可愛いでしょ? 『ミルクティーベージュ』って言うんだよ♪ 彩ちゃんも染めてみたら大分印象変わるんじゃない?」

 


 

 「そっか、……思い切ってイメチェンしてみようかな?」




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

  コメントの返信は日曜日になります



 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 髪の色変えるだけで印象がかなり変わりますよね? インナーカラーなら目立たないし、仕事柄派手な色禁止な会社も平気なんじゃない?


 ちなみにみっくの高校は厳しくないので(笑)髪色は綺麗なミルクティーベージュです。いーなー、私もその髪色にしたいー♡

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