第12話 見返してやろーっ!


 「はいっ、コーヒーでいい?」



 控室に入り未来姉は、彼女をソファーに座らせコーヒーを手渡し、何も言わずに彼女が話すのを待っていた。


 しばらくして彼女はボソボソと喋り始めた。


 「あ、……お店、終わってるのに私……、ごめんなさい」


 「そんなの気にしないで! 話したくなければ話さなくていいし、話せばスッキリするなら話、聞かせて欲しいな。あっ、……私、この店の手伝いしてる田所未来だよ、よろしくね!」


 「未来さん、……ありがとうございます。 私は大塚おおつかあや。音楽の専門学校に通ってるの」


 彩さんはコーヒーを一口飲んでから淡々と喋り出した。


 「実は私、専門学校の生徒達とバンドを組んでたんだけど、クビになったの。……まぁ私も抜けたいと思っていたから丁度良かったんだけどね……」


 「ならいーじゃないですか! かえって好都合ですよね?」


 「それはそうなんだけど、『お前みたいな冴えない女がボーカルだから俺達は人気がない』とか言って、自分の酷い楽曲を棚に上げてみんな私が悪いみたいに言われて……」


 「あぁ、……勘違い系ですかぁ⤵︎」


 「それで新しく連れて来たボーカルの女の子も同じ専門学校で、その子、……この間ナンパしたとか言ってた子だと思うの。

 そいつ性格悪いけど見た目はまぁまぁ良いから、ライブ見に来てくれた女の子にも色々ちょっかいかけたりして、……とにかく女癖が悪くて!

 そう言う私もメンバーが見つからない時に優しい言葉を掛けられて騙されたんだけど……、それも含めてもう悔しくってっ!」


 なんだなんだ? 痴話ゲンカか?


 「二人は、……付き合ってた訳じゃないんですよね?」


 「付き合ってないです! 

 手を出そうとして来たんだけど、私はそいつが女癖悪いのに気付いてずっと拒んでいたの。

 ……多分それも含めて気に入らなかったんじゃないかと思うの」


 うーん、バンド辞められて良かったじゃん、もう関わらなければいーのに。


 「で? 彩さんはどうしたいんですか?」


 「私は自分で作詞作曲した歌を歌わせてくれるって言うからあのバンドに入ったの! なのにアイツの曲しかやらせてくれないし……。

 だからバンド組んで私の歌でアイツを見返してやりたいの!」

 

 あっ、……そーゆー事か!


 「でも、もう専門学校内ではバンド出来上がってるし、『アイツに捨てられた女』とか陰で言われてるから無理かなって。だからライブハウスに来てみたんだけど……、ちょっと怖くて」


 「そっかー、それでウチの店に来たんだー、それならメンバー探すの手伝ってあげるよ!」


 うんうん、未来姉ならそう言うと思ったよ。


 「本当ですかっ? ありがとう未来さん! お店の人が推薦してくれるなら信頼出来そうです!」


 「『みっく』でいいよー! 私の方が年下だし、お互い敬語やめよー、『彩ちゃん』」


 「ふふっ、分かったわ『みっく♡』」


 二人は手を取り合い、そこでようやく彼女は笑顔を見せた。



 こうして彩ちゃんさんのメンバー探しが始まるのでした。




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

  コメントの返信は日曜日になります



 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 付き合っちゃいけない『3B』こと、

 『バンドマン、美容師、バーテンダー』


 ……なーんて言われてたけど、最近じゃ『舞台役者』も追加されて『4B』になったとかならないとか(笑)みんなモテそうだもんね。私、昔バンドマンと付き合ってた事あったけど割といい人だったよー!←じゃあなんで別れた?


 真剣にやってる人達には迷惑な話かもだけど、やっぱりバンド始めるのってモテたいからってのが動機の人多いと思うのよねー、全然悪い事じゃないけど! 

 

 今回はそんなチャラ男達をお話に取り上げました(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る