追放? ざまぁ? 編

第11話 流行りの追放系?


 俺のデビューライブは三千人の観客の中という最高に恵まれた環境だった。


 あー、今思い出しても背中がゾクゾクするよ! みんなの声援や勢いがドーンと襲いかかって来る様なあの感じ、一度経験したら病みつきになるよね、うん。


 そしてトリを務めた『MDC』のボーカルのシュウさんとも知り合いになれて、未来姉と三人で記念撮影して、連絡先も交換しちゃったよ!


 おまけにシュウさんから後日、ロットのメンバー達と一緒に食事に招待されて、俺達二人は『リズム姉弟きょうだい』なんて命名してもらい、特に未来姉は気に入られた様で頭を撫でられて可愛いがられていた。くそー、羨ましいーっ! 



 あのフェスの模様は配信もされていた様で、プイッターのトレンドには、『#MDC』の他には、『#charlotte』、『#ジャンヌ様』『#祝メジャーデビュー』が他の出演バンドを抑えて上位に入っていたらしい。


 その中で、『#ロット、ベース』『#メガネメイド』なんてワードもチラホラ(笑) 流石未来姉、爪痕残してるよ。


 俺ももっと上手くなって「#リズム姉弟」なんてトレンドに入るように頑張ろう!


 でも、……その前にマリアさんの足が良くなるまで俺がマリアさんの手足になろうと思ってる。 

 ……べっ、別にやましい気持ちなんて、無いんだからねっ……!(大汗)




 ※




 「お前、もうクビだっ!」


 「…………えっ?」


 「せっかく俺が作った歌を、お前みたいに冴えない女が歌うんじゃ伝わんねーし、全然客も集まらねーんだよっ!」


 「それは私のせいじゃないしっ! それより今度は私の作った曲やらせてくれるんじゃなかったの?」



 パチーン!!



 「……痛っ!」


 「っんだテメーッ! 俺の作った歌が悪いってのかー? 

 何でもかんでも俺のせいにしやがって! これからはここに居る彼女がウチのバンドのボーカルだ! お前なんかとっとと出てけーっ!」


 


 ※




 「楽しかったー♪ また必要な時は声掛けてねー!」



 肩を落として帰って行くバンドさん達を、未来姉が笑顔で両手をブンブンと振って見送る。

 

 ……あぁ、あのバンドさん達、相当落ち込んでるなぁ。


 この間の俺達が出たcharlotteのライブ、配信もされてたみたいだから未来姉はすっかり有名人だよ! 

 そんな未来姉が突然代役で出て来たから客は大盛り上がり、みんな未来姉しか見てないからもう途中で心折れちゃってたもんなー。あーあ、もうウチじゃライブやってくれないだろうなぁ⤵︎


 ……本当なんでいつも当日になってベースの人は体調悪くなるんだろう? やっぱり『悪魔の赤眼鏡』の呪いなのか?


 俺は洗い物をしながらその光景を苦笑いしながら眺めていたら、……ん? カウンターの隅で下を向いたままポツンと座っている女の子を見つけた。



 (……なんかあったのかなぁ?)



 ライブが終わり、客も帰って行き俺達は後片付けを始めていたら、まだその子は下を向いてカウンターに座ったままだった。


 「お姉さーん、どーしたの? もうお店閉めちゃうけど?」


 未来姉が彼女に話しかけると、その子は急に泣き出した。


 「どっ、どーしたのっ?」


 焦る未来姉を前にして、その彼女は目に涙をいっぱい溜めて、


 「私っ、ひっくっ、くっ、悔しくて……」


 そう言ったまま、彼女は歯を食いしばり肩を震わせていた。


 「未来姉っ、後片付けは俺達がやるからその子についていてあげなよ!」

 

 (注 未来達は家の手伝いで働いているので勿論従業員は他にもいる)


 「うん、分かった。……お姉さん、私で良かったら話聞くよー! とりあえず控室行こ♪」



 ……彼女はコクンと頷いて未来姉に連れられて行った。


 


 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

  コメントの返信は日曜日になります



 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸


 ねっ、『追放系』っぽいでしょ? 知らんけど(笑)


 さぁ、泣いてる彼女は何者なのか? みっくは次、何処でベースを弾くのでしょう?←なんかそーゆー話になってきたぞ?


 この章は全話短めに区切ってます。物足りなく感じるかも知れませんがお付き合いくださいませ!←そもそも『章』とかないけどねー♪

 

 



  

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