第9話 メジャーのバンドよりも!
「悠真くん、……日曜日は私の執事になりなさい! 未来ちゃん、宜しくね!」
そう言ってジャンヌさん達は帰って行った。
※
ジャンヌさんに言われてから俺はセトリの三曲を未来姉と一緒に練習を始めた。
やると言ったはいいけど、これは責任重大なんじゃないの?
リズムキープは勿論だけど、キメの所とかちゃんと覚えないと……。
「二日あれば悠真なら三曲なんて余裕だよ! 気合い入れていくよー♪」
未来姉と一緒にすんなよ! でもやらなきゃいけないしね、マリアさんの為にも!
『反逆の〜』以外の二曲をまずは聴いて覚えよう。未来姉も隣に来て弾きながら俺にアドバイスをしてくれる。
「……よしっ、未来姉やってみよう!」
すると入り口の重い扉を開けて誰か入って来た。
あれから一時間程経って、何とジャンヌさん達が戻って来たんだ!
「やっぱり二人に無理言ってやって貰うのに、私達だけ帰るなんて出来ないでしょ?」
差し入れのエナジードリンクを持って、ジャンヌさん達は食事をした後戻って来てくれた。
あんな激しいライブをした後なのに大丈夫なのか? と、逆にこっちが心配しちゃうよ。
ジャンヌさんは喉の負担を考えて歌は歌わなかったが、アリエルさんとミーシャさんが一緒に演奏してくれアドバイスをして貰い、なんと深夜まで付き合ってくれた。
※
「みなさん、ありがとうございました!」
「こちらこそよ! それよりあなた達も無理しちゃ駄目よ!」
ジャンヌさん達は笑顔で手を振って帰って行った。
「よしっ、未来姉っ、もうちょっとだけ付き合ってくれよ! 俺っ、マリアさんの為にも絶対に成功させたいんだ!」
「オッケー! 日曜日は配信もあるみたいだし、気合い入れてくぞーっ♪」
未来姉はずっと元気に動き回って、最後まで俺の練習に付き合ってくれた。
※
そして日曜日、俺は今日のフェスの内容を知って驚愕していた。
俺は曲を覚えるのに必死で何処で誰とやるのかさえ知らなかったんだ!
そして未来姉に連れられてやって来たのは、なんと東京ドーム!!
…………の隣の東京ドームシティ。
それでもキャパ三千は入るんだけど、俺、いきなりこんな場所で叩くの? しかもぶっつけ本番だよ……。未来姉は「帰りに遊園地寄って行こうよー♪」とか呑気な事を言ってるし⤵︎
今日のフェスはロットの様に独自の世界観を持ったバンドの集まりみたいだ。出演バンドは全四組。その内ロット以外は皆メジャーデビューしている。
そしてトリを務めるのは人気急上昇のV系ハードロックバンド『MAD DRUG COMPANY』(マッドドラッグカンパニー)だ!
ボーカルのシュウさんはメイクをしなくても綺麗で女性の様な顔立ちなんだけど、いつもステージでは上半身裸で全身にタトゥーが入って腹筋バキバキの体育会系! バックのメンバーはモロV系なんだけど(苦笑)このギャップがいいんだよね♪
うっそ! 『MDC』間近で見られるの?
俺達の出演順はもちろん一番最初、オープニングアクト的な? ……まぁプロのバンドの胸を借りるつもりで頑張りまーす、みたいな立ち位置でいいのかな? ヤベっ、……ちょっと緊張してきた。
※
「ジャンヌさぁーん、……コレちょっと短くないですかぁー?」
未来姉がメイド服に着替え終わったらしい。そんな声が楽屋から聞こえて来た。←着替え中の為、外に出されていた。
中に入って声のする方に目を向けると、まるで新しいオモチャを手にした様な顔をしたジャンヌさんが、
「だって未来ちゃん、身長低いから長いの似合わないでしょ? こっちの方が可愛いわ♡」
他の二人は正統派のクラシカルなロング丈のスカートのメイド服を着ている。
でもそれぞれに個性があって、キチンと着こなしているミーシャさん(K)、胸元をあけてセクシーなメイド服のアリエルさん(G)、胸の谷間のホクロがエロいっ! おまけにスカートにはスリットも入ってるしっ! うーん、目のやり場に困るよー! ←がっつり見てる
すると俺を見つけた未来姉は恥ずかしそうにやって来て、
「悠真ーっ、私が思ってたのと違うよー! ねぇ、どっ、……どうかな?」
「……っっ!!」
……かっ、可愛い!
白いカチューシャを頭に乗せ、ミニのスカートに白いニーソからの絶対領域! ゴスロリ風のメイド服姿の未来姉は頬を赤らめて上目遣いで俺を見ている。そんな目で他の男達を見ないでくれよ、もうっ!!
「めっちゃ似合ってるよ! うん、可愛い♪ ……そうだっ! シンちゃんに写真撮って画像送ろうよー!」
未来姉はみるみる顔が真っ赤になり、「ダメェーっ!!」と言って楽屋の外に逃げて行った。シンちゃんが見たら惚れ直すよ、絶対っ♪
俺も一応、執事の格好をしているが、コレでドラム叩くの? 汗だくになりそうだな……。
小柄で童顔なマリアさん(Dr)のメイド服もミニスカートのゴスロリ風で、やっぱり汗をかくからかなり薄い生地で作って貰ったみたいだし、肌の露出も凄くて、その、……エロエロだったもんな♡←思春期
※
開場は午後三時で開演は午後四時。俺は控室でヘッドホンを耳に当て、セトリ順で流しながらスティックを持ちイメージトレーニングをしている。
未来姉はマリーアントワネットの様なジャンヌさんの周りをチョロチョロして、『綺麗ーっ♡』……と、言いながらスマホをパシャパシャ(苦笑)
「みっくはさぁー、緊張とかしないのー?」
アリエルさんは少し緊張してるのかな? 未来姉を見て少し呆れた感じで聞いて来た。
「しませんよー! だって皆さんと一緒だから怖いモンなんて何も無いですよー♪
でも、この格好はちょっと……恥ずかしい、です⤵︎」
「まぁ、可愛い♡ アリエルっ、緊張なんてしてる場合じゃないわよー! うふふっ♪」
ミーシャさんが手を口に当てて上品に笑うとアリエルさんが真っ赤になった。普段ステージじゃ見られないアリエルさんの可愛らしい一面が見えて、俺もなんだか緊張がほぐれて来たよ。
※
「今日のお客さんの半分以上は『MDC』目当てだろうし、残りの半分も他のバンドのファンだと思うの。私達は前座だし、二人にも手伝って貰ってベストの状態じゃないけど、やるからには絶対爪痕残すわよ! いいわね?」
「「「「おーーっっ!!」」」」
「charlotteさーん、準備お願いしまーす!」
スタッフさんの元気な声を聞いて俺達は立ち上がり、そしてジャンヌさんを中心に輪が出来て、みんなで手を合わせ、
「いくよー、せーのっ!」
「「「「「We are charlotte!」」」」」
いざ! 戦場へ!!
つづくー!
本編はここまでっ♪
🌸読んで頂きありがとうございました🍒
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🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸
次話はいよいよ悠真がステージデビュー!
……っていきなりとんでもない場所で叩くんだけど大丈夫なの? そして予定通り未来にメイド服を着させる事に成功して私はニンマリです♡
次は水着バンドのサポートとか、バニーガールもいいよなー♪←志村けん風
そーいや昔、『BAND-MAID』なんて居たわよね? 知ってる人いるかしら? メイド服は文化祭やイベント事など、どこでも大人気よねー! 着た事ないけと。
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