第3話 不憫な弟、悠真の憂鬱


 ……ども、悠真ゆうまです。


 

 未来みく姉もシンちゃんも素直になってお互いLIME交換すれば良いのに……、なんで僕が板挟みになってんだ?


 二人共大好きなクセに意地張ってさ、こっちはいい迷惑だよ……。


 こっから先はシンちゃんがイギリスに行ってからのくだらない会話を抜粋したものです。不快なら読み飛ばしていーですよ!



 あっ、……あとこの先の天の声は僕がやるみたいなのでよろしくお願いします⤵︎



 ※



 「悠真、アイツに送って♪」



 『えへへっ、ギター買って来た🎸』

 『凄いんだよー! 他のに比べて私のギター🎸は弦が四本しか無いから、アンタより私の方が早く上達するわね! べーっ!』


 『悠真、姉ちゃんに言っとけ!』

 『「べーっ!」じゃねーよ! それ「ギター」じゃなくて「ベース」だっ、バカ!』



 「悠真っ、……送って!」



 『ほぇ? そーなの? じゃあ私「ベース」でいーわ♪』

 『あらためて、……どっちが上手くなるか勝負よ!』


 『それじゃあ悠真、姉ちゃんがベースならオマエはドラムやれ! そしたら三人でバンド組んで天下取るぞ!』



 えっ、……僕もやるの? マジかー



 「悠真っ、面倒臭いからスマホ貸してっ!」


 ……未来姉は僕のスマホを取り上げてポチポチと打ち出した。


 『アンタにしては良いアイデアね! 悠真と一緒なら続けられそうだわ! よぉーし、三人でバンド組んでウチのお店満杯にしよー♪』


 『ヤル気になって来たぜー! オマエら俺の足引っ張らない様にちゃんとやれよ!』


 『私達姉弟が組んだら最強だしっ! アンタこそ会った時下手くそだったら荷物持ちなんだからねー!』


 僕、やるなんて一言も言って無いのに……。


 

 ※



 『姉ちゃんに言っとけ! 今、リチャードって師匠に教わってんだ。もう、なんでも弾けるしすっげぇ上手いんだせっ! 俺だってこれからどんどん上手くなって師匠みたいになってやる! そっちはどうだ?』



 「悠真っ、送って♪」



 『僕も未来姉もライブハウスに出演してくれたプロの人から教えてもらってるよ! お互い頑張ろうねー♪ だって』




 ※




 それからは僕も含めた三人が、それぞれの師匠の元、徹底的に基礎を学んで腕を磨いていった。

 お互いの上達自慢を僕のLIMEを経由して醜い争いをしながら一年、また一年……。



 未来姉は中学に入ってからは部活にも入らず、家に帰って基礎練習、そしてライブハウスで演者を見て勉強と、とにかくベース漬けの毎日だった。 よっぽどシンちゃんに負けたくないんだな、なんか一途で弟なんだけど可愛いなって思うよ。


 可愛いのは中身だけじゃなく、見た目も小学生の頃はちっちゃいメガネザルみたいだったのに、見違えるくらい綺麗になっていった。

 

 視力が少し回復したらしく、メガネを外した人懐っこくて可愛い笑顔に、同級生や上級生からも言い寄ってくるヤツが結構居るみたいだよってシンちゃんにLIMEしたら、めっちゃ焦ってた。



 『オイ悠真っ! 姉ちゃんの画像送れ! アイツがどうなってるか見てやる!』



 ……なんで偉そうなんだ、この人は。



 未来姉にチクったら真っ赤になってスマホを取り上げられた。


 「悠真ーっ、絶対送っちゃ駄目なんだからねっ! アイツだって画像送ってって言っても送って来ないクセにーっ!」


 俺のスマホに文句を言いながらポチポチと打ち出した。



 『えっち、へんたーい! 

 私なんて、もうあの頃と違ってボインボインのキューなんだから! 言い寄ってくる男がいっぱいでもうたいへーん♡』


 『俺だって背ぇ伸びてめっちゃ男前になったんだからな! もう金髪美人達がほっとかないんだぜ! 次に会ったら惚れるぞ、バーカ!』


 『バカって言った方がバーカ!』


 『んだとっ? あと二年で帰るから覚えてろよっ!』



 未来姉はプリプリ怒りながらも「あと二年か……」って呟いてなんか嬉しそうに僕のスマホを抱きしめていた。大好き過ぎだろ……。




 ※




 中学三年になった未来姉は、ライブハウスで知り合った大人達に誘われて一緒に演奏する様になっていた。ベースが急遽出られないバンドの代役なんて事があっても、ぶっつけ本番でライブをやっていた。どうやら未来姉は演奏を数回聞いたら耳コピ出来るみたいだ。


 シンちゃんも大人達とバンドを組んで各地のライブハウスを転々としながら場数を踏んでいるらしい。……俺もおいて行かれない様に頑張らないとな。←思春期が来て「ボク」から「俺」に変わった。

 

 


 ※




 未来姉は、高校に入ったら店の手伝いをする様になり、良い意味でも悪い意味でも店の看板娘になっていた。


 未来姉が働いてるのはライブハウスの扉の前に併設されているカフェスペースだ。

 店に出ると愛想も良いし、手の空いた時間はテーブルをまわって世間話をしたりするもんだから、昼間やライブが無い日でも未来姉目当てで若い奴や近所の年配の人まで集まって来る。


 そして、代役を頼まれてステージに立つと、その可愛い容姿もだけど演奏やパフォーマンスで圧倒してしまって、そのバンドが食われちゃうんだよねー。だってみんな未来姉しか見てないんだもん。終わった後にガックリと肩を落として帰っていくバンドマンを何人も見たよ。


 しかも何故かウチの店でライブをするバンドのベースは、当日になって調事が多いらしい……何の呪いだ?




 そんな未来姉についた二つ名が……、



 『devil's red glasses』〜悪魔の赤眼鏡〜



 未来姉は「何それー、カッコイイー♪」とか言って笑ってるけど、ソレ、褒め言葉じゃないからね⤵︎




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

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 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 さて、3話にしてようやく楽器を持ちました。

 最初って音鳴らないし、コード押さえられないし、指痛いしでやめたくなるよねー!


 三人はひたすら基本練習をしています。それが高校に入ってめちゃくちゃ生きてきます。やっぱり何をやるにも基礎は疎かにしてはダメですねー。


 ここまでがプロローグです。次話から本編に入るので❤️や⭐️、フォローをお願いします!


 


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