第44話

4層と5層に余っている魔物を移動させる。


可哀想にも思えるが環境の変化に適応して進化することもあるので手持ちのDPを節約して魔物を充実させるためには仕方のないことだ。


一応、住処を作れるようにゴーレムも派遣しているので何とかなるだろう。


数日が経ち、エルフの渦を買えるだけのDPが溜まった。


エルフの渦を購入し早速エルフが1匹出てくる。


金色の髪を持ちスリムな体系でいかにもエルフといった感じの美少女だ。


「はじめまして、ご主人様」


美少女エルフはそういってカテシ―をしてみせる。


「僕はヒイロ。よろしくね。早速で悪いけど仕事を頼むよ」


そう言って薬草類が保管してある部屋に案内する。


「このリストにある調剤を頼めるかな?」


「かしこまりました」


これで回復薬や様々な消耗品作りから解放される。


その時間を使ってダンジョン内の魔物の訓練に参加して進化を促そうと考えていたのだがここでトラブルが発生した。


「ヒイロ。今いいかしら?」


ラキア姉さんからの念話だ。


「大丈夫ですけど、何かありましたか?」


「悪いんだけど貴方のダンジョンの入り口まで迎えに来て頂戴」


急な呼び出しであるが否はない。


「わかりました」


ラキア姉さんだけなら遠慮せずに入ってくるだろう。


そうしないということは誰か連れでもいるのだろうか。


入り口まで出向くとラキア姉さんといかにも貴族といった風体の男性がいた。


「急に着て悪いわね」


「いえ、それでそちらの方は?」


「紹介するわね。ヴラド・ツェペシュ公爵。吸血鬼よ」


ヴラド・ツェペシュ公爵は父である大魔王から聞いた覚えがある。


数少ない本物の貴族だとよく言っていた。


「改めて名乗ろう。ヴラド・ツェペシュ公爵だ。君は父上によく似ているな」


「父にですか?」


「うむ。君を見ていると今すぐ逃げ出したくなるよ」


この言葉は本心からだろう。


何せ、大魔王である父はダンジョン族と吸血鬼の抗争時、何度も遭遇して瀕死の状態に追い込んだのだから。


「ここでは何ですから中へどうぞ」


ヒイロは二人をダンジョン内に案内する。


魔王の間ではなく応接室に案内し席を勧める。


何も出さないのも何なのでヒイロ自ら紅茶とお茶請けのクッキーを出す。


「あら、ヒイロが入れてくれるなんて何年ぶりかしら」


ラキア姉さんはご機嫌だ。


まだ、大魔王である父のダンジョンにいた頃は何度も頼まれて紅茶を出していたのを思い出した。

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