第42話

ヒイロと魔力のパスが繋がったことで三日月の奥さんに変化が現れた。


体が光、真っ白な狼へと姿を変える。


白狼と呼ばれる非常に頭のいい狼の魔物である。


妊娠中の進化は体内の子供にどのような影響を与えるかわからないので非常に不安ではあるが進化してしまったものは仕方ない。


しばらくは常時傍にいて様子を見るしかないだろう。


それはそうと進化したお祝いに三日月の奥さんに名を送った。


見た目から白と名付けたが気に入ってもらえたようだ。




白と共に代官を務める村へとやってきた。


最初は白の迫力にびびっていた村人達だったが大人しいことがわかると人気物になっていった。


今も、白は幼い子供達の面倒をみている。


番犬ならぬ番狼である。


村内ではまだまだ物々交換がメインであるが外貨を稼げるようになった村人達のおかげで街の製品なんかも入ってきている。


今はシャルをはじめ幼いながらも仕事を手伝っていた子達に簡単な文字を教えているところだ。


前までは学業を学ぶ余裕もなかったが今後、村が発展していく上で識字率というのは大事になってくる。


全員がヒイロが教えることを真剣に学んでいる。


紙が貴重なご時世なので地面に教えられた文字を書き何度も練習する。


今は自分の名前と簡単な文字ぐらいしか書けないがこの調子ならすぐに物にするだろう。


子供達が飽きないように教科を変えてみる。


算数の時間だ。


算数の時間には仕事を抱えている大人達でさえ、暇を見つけては参加している。


どうやら、街に行ったときに計算が出来ないことで騙されたりといったことがあったらしい。


ヒイロとしても真剣に学ぶ彼等の為に教材を色々用意しようと決めたのだった。




ダンジョンの方は順調だ。


適度に冒険者が2層と3層を探索している。


4層は閑古鳥が鳴いているが計算通りである。


ラミアが眷属を増やせないとぶぅぶぅ文句を言っているがスルーする。


反乱されてもなんとかなるだろうが支配下にない者が自分のダンジョンを徘徊しているのはやはり精神的によろしくない。


入り口近辺は区画整理されちょっとした街のような様相をみせている。


計画的に開発されているところをみるに領主であるラスティンのテコ入れだろう。


ドワーフの数も順調に増えているので入り口近辺に直営店を出してみるのも面白いかもしれない。


数打ちの武具に初歩的な回復薬など冒険者が欲しがる物をおけばそこそこの収入になりそうだ。

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