第34話

「そうそう、ヒイロ。そろそろダンジョンの防衛のことを考えた方がいいわよ」


「防衛をですか?」


現在、ヒイロのダンジョンでは第一フロアのフロアボスを六本腕のスケルトンに任せている。


将来的にはゴーレムを配置し六本腕のスケルトンはもっと奥の区画に配置する予定だ。


「ウィンドブルの冒険者組合からここらの冒険者に呼び出しがかかっているわ」


「そうなると手練れの冒険者がやってくることになりますね」


「何か考えはあるのかしら?」


「そうですね。DPに余裕はないですし冒険者を素通りさせて倒すぐらいでしょうか?」


本来であれば適当に魔物を当てて引きかえさせるのがダンジョン運営の基本だ。


しかし、ラキア姉さんのダンジョンを攻略するような冒険者に好き勝手させてはせっかく揃えた魔物が全滅しかねない。


そうなるとダンジョンの立て直しは非常に大変なことになってしまう。


「まぁ、褒められた手ではないけれどそれしかないかしらね」


「忙しくなりそうですし今日はこれで帰りますね」


「落ち着いたらまたきなさい。その時はお茶でも飲んでいって」


「はい。楽しみにしてますね」




ラキア姉さんから手練れの冒険者が向かうという情報を聞いたヒイロは急いで自分のダンジョンへと帰還した。


まずは前倒しとなるが六本腕のスケルトンを開発中の4層へと移動させる。


かわりにゴーレムを5体程配置。


2層の草原エリアにはタイラントボアを仮のフロアボスに設定する。


フロアボスに設定するとステータスに補正がかかる。


続いて第3層は外で捕獲してきたトレントをフロアボスに設定する。


4層は開発中だが仮の魔王の間を置く。


これで冒険者を迎え入れる準備は完了だ。


ラミアと三日月には嫌がらせをしつつやばいと思ったらすぐに逃げるように伝えておいた。


冒険者がやって来るまでの間に魔物の訓練を実施する。


魔物はダンジョンの魔力を吸収し続けると進化して格があがることがある。


長年のダンジョン族の統計で放置していた場合と訓練を実施した場合では訓練を実施していた方が進化の割合が高いことが知られている。


今回は残念ながら進化する個体は現れなかったが決して無駄にはならないだろう。


ヒイロ達が忙しくしている間も兵士と鉱夫達は1層で採掘作業を続けている。


彼等には感謝しなければならない。


貴重なDPを生み出し続けてくれているのだから・・・。


その貴重なDPをつぎ込んでダンジョン内に罠を設置する。


これで少しでも攻略にやってきた冒険者が疲労してくれるといいのだがそんなには甘くないだろう。

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