第32話
村での作業を終えてダンジョンに帰還したヒイロは三日月とラミアから報告を受けつつ今後の方針を考えていた。
思った以上にラキア姉さんに甘えてしまっている。
早急にお返しをしなければならないがドワーフの渦を買えるのは明日になりそうだ。
最初に生まれた子は自分のダンジョンで使いたかったがラキア姉さんのところに送ることになるだろう。
捕まえてきた魔物の繁殖は順調に進んでいる。
これならば草原エリアと森エリアを近々解放してもいいだろうか。
課題となるのはそれぞれのエリアのエリアボスをどうするか。
DPに余裕があれば買うのもありだがその余裕はない。
今現在いる魔物のリストと睨めっこしてなにかよい案はないか検討する。
変異種などがいればよかったのだが残念ながら該当する魔物はいない。
進化を試みている魔物もいるがその結果が出るのはまだ先だろう。
結論として先送りにすることにした。
もうしばらく六本腕のスケルトンには頑張ってもらおう。
必要な消耗品を作り終えたヒイロは短い仮眠をとって再び村へとやってきた。
今日、やることは村内の作物の状況把握だ。
知ってはいたが病気であったり栄養不足であったりと酷い状況だ。
収穫が見込めない野菜に見切りをつけ村人に撤去させて肥料を加えサツマイモを植えさせる。
サツマイモは痩せ地でも良く育つ丈夫な野菜だ。
そして種芋から伸びるツルを定植させることが出来る為、非常に効率よく数を増やすことが可能だ。
これで必要最低限の食料はなんとかなるだろう。
後は時期を見て他の野菜も育てさせればよい。
「はぁ・・・。代官様。色々お手数おかけして申し訳ない」
「いえいえ、これも何かの縁です。村の備蓄は大丈夫ですか?」
「正直、ぎりぎりですね」
二日、森に収穫にいけなかった。
それだけで村の食料状況はよくない方向に進んでいる。
しなければならない仕事は激増しており森に採取に行くのは難しいだろう。
「村人を飢えさせるわけにもいきませんし、食料はなんとかしましょう」
そう言ってヒイロは一人、森へと向かった。
森には魔物は間引いたとはいえ、獲物となる動物が山のようにいる。
地形も把握済みである為、散歩の要領で次々と大物を仕留めていく。
肉ばかりではあれなので食べられる山菜やキノコなども確保しておいた。
これだけあれば当分の間は持つだろう。
ヒイロは上機嫌で村へと戻り成果物を惜しげもなく提供したのだった。
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