第31話
ダンジョンでしなければならないことをして代官となった村へとやってきた。
「お疲れ様です」
既に顔見知りとなった門番に挨拶して村へと入る。
それに気が付いた村人達が集まってくる。
「錬金術師様だ。ご無事でよかった」
兵士達に連れていかれたと聞いて心配をかけてしまったようだ。
「村長はいますか?」
「儂ならここじゃよ」
人々の奥の方から村長がやってくる。
「荷は届いていますか?」
「荷とな・・・。新しい代官様の荷なら届いていおるが・・・」
「大丈夫です。僕が新しい代官ですから」
「なんと!錬金術師様が代官様だったのか」
村人達から歓声があがる。
新しい代官によっては今まで以上の過酷な状況もありえた。
それが見知ったヒイロが代官であると知って安堵したのだろう。
「まずは荷の確認から。それが終わったら今後の村の方針を固めましょう」
「わかりました。こちらです」
村長について行くとケージに頼んでおいた品種改良済みの家畜。
飼育用の餌そして野菜の種などが思っていた以上に山積みとなっていた。
ラキア姉さんが奮発してくれたようだ。
「まずは家畜の飼育場所を確保しましょう。木を切ったらこの区画に運び込んでください」
「わかりました。若い連中を総動員して木の確保じゃ」
村長が声をかけると若い衆が駆け足で作業に向かう。
「村長。一つ確認なのですが残しておきたい作物とかはありますか?」
「いや、特にないのう」
「ならばよかった。今植わっている分は別として今回届いた作物に入れ替えていきましょう」
「それはいいのじゃが、これだけの数を育てる畑はありませんぞ?」
「あぁ。それなら村の外を整備してそこを畑として使います」
「村の外ですか?ですが、それでは獣達に荒らされてしまいます」
「大丈夫です。こちらの水を定期的に撒けば獣達は寄ってきませんから」
ヒイロが取り出した水にはヒイロの魔力が混ぜてあり、ヒイロの危険性を知っている動物は勿論のこと魔物も避ける効果がある。
「わかりました。今すぐ作業をさせましょう」
今、すべきことは食料の自給率をあげさせることだ。
村人達と協力して次々と必要な作業をこなしていく。
村の外の状況を確認し錬金術を駆使しながら畑として整える。
ここで植えるのはジャガイモだ。
手本を示して作業を村人に任せ村の中に戻る。
運ばれてきた木を木材として加工し指示を出しながら家畜小屋を作る。
一通りの作業を終えた頃にはすっかり日が暮れていたがやりきった感がある。
ヒイロは泊っていってくれという村長に礼だけ言ってダンジョンへと引き上げた。
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