第26話

「あぁ。それはですね。DPを貯めているからです」


弱い魔物の渦を購入するだけのDPは確かにある。


しかし、そんなものよりも優先したいことがあるのだ。


「ふぅ~ん。お姉ちゃん聞きたいなぁ」


「隠すことでもないですしいいですよ」


そう言った瞬間、頭を撫でられる。


「それで?それで?」


「実はドワーフの渦を買いたくてですね」


「ドワーフかぁ。でも、ヒイロって錬金術使えたわよね?」


一応ラキア姉さんは納得したらしい。


ドワーフは亜人として世界に定着している種族だが、元を正せばダンジョンの魔物の一種だ。


ダンジョンが消える。


つまり魔王が倒されればダンジョンで生まれた魔物は消滅する。


しかし、繁殖した子孫達は含まれない。


ダンジョンが消滅し、行き場を失ったドワーフ達は外に出て物を作ることによって居場所を作ったのだ。


他にもダンジョン出身の亜人は存在するがそれは追々紹介しよう。


「確かに錬金術は使えますが他にも使える個体がいれば色々できますので」


ドワーフは高いだけあって戦闘力もそこそこあるが物作りに特化した亜人だ。


今現在、自分がやっている作業を任せられれば色々余裕が出てくる。


例えば今現在はスケルトンに剣しか持たせていないが鎧を装備させたりとか。


定期的に近くの村に運んでいる堆肥を作らせたり。


それに人手不足の現在、知能のあるドワーフを加われば運営面でも大きな力となってくれる。


そう言ったわけでドワーフの渦を購入したいのだ。


「方針はわかったわ。ドワーフの数に余裕が出来たら教えて頂戴。不足している魔物をトレードしてあげるから」


魔物のトレードは横繋がりのあるダンジョン族同士でよく使われる手だ。


しかし、ラキア姉さんはドワーフなどいなくてもダンジョンをまわせている。


これはつまりは姉さんなりの優しさなのだろう。


「わかりました。その時はよろしくお願いします」


「そろそろ行くわね。また、来るわ」


そう言ってラキア姉さんは転移していった。




放置する形になっていてラミアに声をかける。


「大丈夫?」


「えぇ。大丈夫よ」


そう言うラミアはあきらかに震えている。


「あはは。食って食べたりしないから安心して」


そう冗談を言うとラミアは強がってみせる。


「ふん。逆に食べてやるわ」


吸血鬼が食べるとか笑い話にもならないからやめてほしい。


でも、何とか気持ちを持ち直したようだ。


よかった、よかった。

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