第24話

「ラキア姉さん。ちょっとお耳を拝借」


かくかくしかじかと事情を説明する。


「はぁ・・・。貴方って子は、いきなりそんな問題を抱え込むなんて」


事故といえ、非はこちらにある。


ラミアの提案を断ることは不可能だった。


「あの、我々はどうしたら・・・」


「あぁ。貴方達は帰っていいわ。後で罰を与えるから覚悟しておくことね」


乗り込んできたダンジョン族二人は帰っていった。




「それでどうするつもり?」


「現状維持しかないかと」


「う~ん・・・。私のほうでも動いてみるけど他に知られないように注意しなさい」


「それはわかっています」


ラミアの件は一応当事者同士で合意はしているもののダンジョン族と吸血鬼の協定を考えれば大問題だ。


ラミアの行為は完全にダンジョンへの寄生だ。


ダンジョン族としてはそんな行為を見逃すわけにはいかないし、プライドの高い吸血鬼の上位階級が何かしら動きを見せてくることも考えられる。


「そうね。まぁ、寄生虫は幸い弱いようだし大したことは出来ないでしょ」


ラキア姉さんが意味ありげに見た先では隠れて成り行きを見ていたラミアが蛇に睨まれた蛙のごとく固まっていた。




◆◆◆


ちょっと、何あれ何あれ?


興味本位でヒイロ以外のダンジョン族を見に来たのだがそこにはとんでもない化け物がいた。


どうあがいても勝てる要素が見当たらない。


気配を隠していたのに完全に見破られてこちらを睨んでいるし・・・。


「あらあら、驚かし過ぎたかしら?でも、この程度でビビるなんてヒイロ貴方、敵対した時に本気を見せなかったわね」


え?


何言ってるのこの人。


ヒイロは人間と比べればはるかに強いけどそこまで強いという印象はない。


「無駄に怖がらせる必要もないかと思いまして」


この口ぶりだと何か隠してる?


「そこの貴方、ちょっとこっちにいらっしゃい」


微笑んでるけどそれが怖い。


断ったらよくないことが起きる気がする。


行きたくないけど私は近づいていく。


すると、耳打ちされた。


「ヒイロは私より強いわよ?せいぜい怒らせないことね」


あんな優しそうな子が?


えっ?


全然強そうに見えないんだけど・・・。


「その顔は信じられないって顔ね。大魔王の子供は多いけれどこの子は一族の中で唯一その大魔王が戦闘面で褒めた正真正銘の化け物よ」


ぇ?


大魔王ってあの大魔王?


絶対近づくなって言われてたのにその一族に自ら首を突っ込んだってこと?


私は事態の深刻さに顔を青くするのだった。

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