第23話
取りあえず、ラキア姉さんに念話で連絡をとってみる。
「あらあら、ヒイロから連絡してくれるなんて姉さん嬉しいわ」
念話が繋がったと思ったらこれだ。
取りあえず今の状況を伝えてみる。
事情を聞いたラキア姉さんは驚くことなかれ、空間転移ですっ飛んできてしまった。
空間転移。
ヒイロも使えるがここまでぶっ飛んだ性能はしていない。
異空間であるダンジョンには主である魔王以外が転移するのを阻害する機能が存在する。
だというのに、念話で場所を特定し阻害効果を無効化してのご登場だ。
いやはや、本当の天才というのはラキア姉さんのような人物をさすのだろう。
そして、哀れ、ダンジョンに乗り込んできた二人組。
滝のような汗を流しておられる。
憤怒に燃えるラキア姉さんを止めるのなんて僕には不可能だ。
頑張ってもらおう。
「貴方達。私の許可も得ず持ち場を離れてヒイロに喧嘩を売るなんていい度胸ね」
ラキア姉さんは顔は笑っているけど目がマジだ。
「ひ、ひぃぃぃ」
「ラキア様。お許しください」
仕方ない。
助け船を出してあげよう。
「ラキア姉さん。僕にも悪い所がありました。その辺で」
「ヒイロは黙っていなさい」
「いえ、ダンジョンを破壊されても困るので」
ダンジョンは異空間だ。
設定を弄れるのは魔王だけであり、本来であれば破壊不能だ。
しかし、何事にも例外がある。
父である大魔王が怒った時などがいい例でダンジョン族の移住空間が半壊したこともある。
そして、ラキア姉さんも破壊するだけの規格外な存在だ。
DPに余裕のない現在、ほいほいダンジョンを壊されると非常に困ってしまう。
「はぁ・・・。まぁ、いいわ。でも二人には罰を与えないとね」
姉さんが罰と言った途端、二人組は絶望的な顔をする。
「ヒイロのダンジョン経営を手伝いなさい」
いや、手伝われると非常に困る。
隠しておかないといけない吸血鬼、ラミアとかラミアとか。
彼女がダンジョンに居ついていることがバレれば大ごとだ。
「ラキア姉さん。非常にありがたいお話ですが大丈夫です」
「どうしてかしら?人手はいくらあっても足りないでしょ?」
ラキア姉さんがいう通り、三日月とラミアに一部権限を委譲しているとはいえ二人はダンジョン族じゃない。
ダンジョン族の手伝いと比べれば出来ることが非常に少ない。
そんな状況で断ればおかしいと思うのは自然なことだ。
ラキア姉さんに隠しごとを出来たためしがない。
ここは素直に事情を話した方がよさそうだった。
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