第16話

ダンジョンに戻ったヒイロはゴブリン達にダンジョン内の森にある落ち葉を集めさせた。


そして、集めた落ち葉を木枠で作った箱に詰め踏み固め錬金術で作った微生物の活動を強める水を撒く。


そこにダンジョン内の土を入れて再び落ち葉を入れ水を巻きこれを繰り返していく。


これで明日の朝には栄養満点の堆肥が出来ているはずだ。


出来上がった堆肥はアイテムボックスに入れればいいが手ぶらで大量の堆肥を村に持っていくのは流石に怪しすぎる。


というわけで特大のリアカーも作る。


ダンジョン内の木はいくら切っても再生されるので使い勝手が良い。


近くの村を救うと決めたもののダンジョンの経営を疎かにしてはいけない。


魔物の渦から生まれたスライムの一部は入り口の鉱山地帯に配置しているが他のスライムは別々の餌を与え進化を待っている状態だ。


毒草を食べたスライムはポイズンスライムになり、薬草を食べたスライムはヒールスライムに。


鉄鉱石を食べたスライムはメタルスライムになる。


尚、某ゲームのようにメタルスライムを倒したからと言って経験値ボーナスはない。


スライム達の様子を見るにまだ進化には時間がかかるようだ。


契約したスモールウルフ達も他の魔物達と仲良くやっているようだ。


そして肝心の鉱山地帯だが侵入者はなく今だに兵士達が入り口を封鎖中である。


少女の村には昼ぐらいに顔を出せばいいだろう。


というわけで夜である現在、動きが活発化しているであろう夜の魔物を求めて再びダンジョンの外に出ることにした。




実はダンジョンを作る前の視察で目星をつけていたポイントがある。


それは、天然の洞窟だ。


入り口は狭く入れる魔物は限られるが大量にある魔物が生息しているのを知っていたのだ。


それは蝙蝠型の魔物であるコバットだ。


コバットは強い魔物ではないが群れで生活し、集団で他の生物の生き血を啜る魔物だ。


時に感染病の媒介となり、コバットに襲われた村が人知れず滅ぶこともある。


人が存在を知れば大規模な討伐隊が組まれることもある。


ヒイロが洞窟に入ると顔に向かって飛翔体が飛んでくる。


目的の魔物であるコバットである。


障壁魔法を展開し無数に向かってくるコバットをはじきつつ予め用意しておいた杯に自分の血を満たし設置してからその場を離れる。


血の匂いに誘われたコバット達が杯に殺到する。


ヒイロの血を飲んだコバットが大人しくなる。


これは契約の儀式の一種である。


強い者の血には無条件に魔物を従わせる力がある。


相手の格が高ければ抵抗されることもあるがコバットでは抗うことは難しいだろう。


こうしてヒイロのダンジョンに蝙蝠型の魔物コバットが追加された。

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