第14話
新たな魔物を求めて森を歩いていると人の気配を感じた。
人の近くには魔物もいるようだ。
なんとなく気になり近づいていくと少女の悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴の元に急いで向かうと服をびりびりに破られ今にも襲いかかられる寸前のところだった。
オークは繁殖力が高く人型の生物の雌を見つけると襲いかかる習性がある。
強さはゴブリンよりも耐久力が高く力も強いが知能は低くダンジョンの魔物としてはありふれていて野生にも多く生息している。
ヒイロは一気に間合いを詰めてオークの首を剣で刈りとった。
「えっ?えっ?」
目の前には何が起こったかわかっていない少女。
「大丈夫。落ち着いて」
ヒイロは羽織っていた外套を脱ぎ少女にかけてあげる。
少女が冷静になるまでしばしの時間を要した。
「あの、助けていただきありがとうございました」
「うん。一人でこんな場所にいたら危ないよ?」
「あはは。うち、貧しくて薬草を取ったり木の実集めたりしないといけなくて・・・」
少女の服はオークに破かれた以外にもつぎはぎだらけで薄汚れていた。
「すみません。見苦しいですよね」
「そんなことないよ。ここで出会ったのも何かの縁だし送っていくよ」
「いえ、悪いですよ」
「また、何かに襲われたら今度こそ危ないよ?」
オークの血に誘われたのか肉食の魔物が近づきつつある。
ヒイロからすれば余裕で相手をできる程度だが少女が無事に家に帰れるとは思えなかった。
ヒイロは少女が落としたと思われる籠を背負い少女の手を取って歩き始めた。
少し、強引かなとは思いつつもこの少女にこれ以上怖い思いをしてほしくない。
最初は恐る恐るついてきていた少女はいつの間にか上機嫌で歩いている。
ある程度、離れたところでヒイロは良い物をみつけた。
パンの実だ。
味は今一だがお腹が膨れ栄養価も高い冒険者ご用達の実だ。
この辺りではあまり知られていないのかパンの実が大量に群生していた。
ヒイロは籠いっぱいにパンの実を入れる。
「それ、食べれるんですか?」
「うん、美味しくはないけど栄養価が高くてお腹が膨れるだ」
ヒイロは手本を見せるようにパンの実を食べてみせる。
「わ、私も・・・」
少女は恐る恐るパンの実を口に入れて咀嚼する。
「どうかな?」
「思ってたより美味しいです」
「それはよかった」
パンの実を美味しいと言える少女の食事状況は思っていた以上に悪いようだ。
人にあまり深く関わるのは良くないと言われているが知り合った以上はどうにかしてあげたいと思うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます