第13話
肉を食べ終えたスモールウルフ達は寝そべったりすり寄ってきたりと中々に可愛い。
これだけ懐いてくれれば契約をしても大丈夫だろう。
ヒイロを中心として契約の魔法陣が広がってゆく。
群れ全体を魔法陣が包みスモールウルフ達の感情がヒイロの中に入ってくる。
これでスモールウルフ達は野良の魔物からダンジョンの魔物として生まれ変わった。
珍しいことにスモールウルフ達のボスの姿がかわっている。
ヒイロと繋がったことにより種としてより強い姿に進化したようだ。
種族は黒い艶のある毛が特徴のブラックウルフだ。
かなり賢く人語を理解し話すことも可能だ。
「主殿、我が名は三日月。末永くよろしく頼む」
「僕はヒイロ。この近くに出来たダンジョンの魔王だよ」
強い魔物が少ないとはいえこれだけの規模の群れを維持していくのは大変だっただろう。
ダンジョンの魔物になったことによりスモールウルフ達は食事を必要とせずダンジョンの魔力を糧に生きていける。
「ダンジョンに案内するよ」
そう言ってヒイロはダンジョンへの道を歩きはじめた。
スモールウルフ達は三日月に率いられ行儀よくついてくる。
ダンジョンに到着したヒイロは仕掛けを作動させダンジョン関係者用の隠し通路を開きスモールウルフ達を招き入れ最後に出入り口を閉じてスモールウルフ達を追いかけた。
狭い隠し通路を抜けてスモールウルフ達を森エリアへと案内する。
「ここが今日から君達の住処だよ。他の魔物達と仲良くね」
「主殿。かたじけない。ここはよい場所だな。無限に力が沸いてくる」
ダンジョンの魔物は野良の魔物よりも強い。
それはダンジョンの魔力を取り組み力に変換することができるからだ。
あんまり強くない魔物には微々たるものであるが強い魔物程その恩恵は大きくなる。
生まれたてのダンジョンの為、循環している魔力の量が少ないが長年存続したダンジョンは循環する魔力もでかくなってゆく。
循環する魔力が多くなれば魔物の渦から生まれる魔物が強くなり生産される魔物の数も増える。
循環する魔力を増やすにはとにかく人を呼んで感情を刺激するのが効果的だ。
その為には餌として様々なアイテムや魔物を充実させなければならない。
ヒイロは入り口が兵士達に封鎖されていることを確認して再び魔物を求めて外に飛び出していった。
今度はどんな魔物と出会えるのか今から楽しみだ。
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