第23話

ー23ー


 人生でいい時期は15歳〜35歳までだろう。あとは転落していくのを眺めている以外無くなる。40歳も近くなれば倦怠を感じるようになる。生きていくことの困難さを感じるようになる。夢も希望も特殊なエリート以外消えてしまう。初めに戻るがはやぶさ2を成功させたような連中である。彼らにとって当たり前のことが一般の人にとっては信じ難いことになる。成功者以外は夢も希望もなくなる。これが大多数である。はやぶさ2は才能と努力の賜物である。彼らのような純粋な人たちにとって成功は人生の充実さを高めることになる。彼らの目標はさらに先にあるのだろう。このような特殊なエリート以外、人生で夢や希望を持つのは不可能である。憂鬱と倦怠と無力感を感じながら何十年も生きねばならない。例えば数学の得意な生徒にとって数学の苦手な生徒がいることは不思議でたまらない。逆に、不得意な生徒にとって得意な生徒がいるのが信じられない。はやぶさ2を成功させた人たちにとってその成功は緻密に計算された当然の結果に思えるだろう。だが一般人にとっては逆立ちしても不可能なことであり、天上の世界の出来事のように見える。はやぶさ2に限らずある対象に夢や希望を持ち続けている人はごく少ない。これはどうしたらいいのだろうか。自分の目標のハードルを下げて小さな成功を願う以外ないだろう。実際多くの人はそうして生きている。俺の人生はこの程度でいいと思っている人のあまりに多いことか。失敗者がいるから成功者がいる。大多数が失敗者なのである。それでも人間は絶望して容易に自死するようにはできていない。

 自死の問題は永遠の謎であろう。あの人がなぜ、というケースが多い。人生がうまくいっている人でも死ぬ人は死ぬのである。これは自殺の遺伝子があるのではないかと思ってしまう。

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