第21話

ー21ー


 さて若い男はスピードが好きである。公道をバイクで100キロ以上出して走りたい。だがそれは非常に危険な行為である。だが若い男はそれが分からない。どれだけ早く走れるか競争するようになる。とにかくあのスロットルを解放した湧き上がる音が大好きである。そして自分は特別だ。事故は決して起こさない。起こしたとしても奇跡的に軽症で済むだろうと思い込んでいる。自分で勝手に事故を起こしてあの世行きになるのならまだいいが、人を巻き込む場合は非常に面倒になる。お金で解決できないからだ。男はバイクを止める。そして一生その事故を悔やむ。だが自分が法定速度で走っていて横断歩道のない道を横切る爺さん婆さんがいる。彼らは近くに交差点があってもショートカットしたくなるからである。気持ちよくバイクに乗っていた少年は突然視界に入ったご老人を避けきれない。最低骨折は免れない。誠心誠意謝り続けなければならない。

 私は思うのだが、車道を横切る人の方が悪いのである。前方不注意では決してない。車は急に止まれない。特にバイクは不安定で転び方によっては自分も重傷を負う。だから「車道を人が渡るな」と声を大にして言いたい。車道は車の走行する道なのである。人は横断歩道が青の時だけ渡れる、これは当たり前のことである。だがこれが守れないことによって多くの悲劇が生まれる。そして悪いのはバイクを運転していた方になる。これは絶対になるのである。ああ、高原の一本道を気持ちよく走りたいものだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る