第17話
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さて自殺についてであるがこれは良いのであろうか悪いのであろうか。もちろん社会から見れば悪いことである。生産性が落ちる。だが個人にとっては自由である。個人にとっても周囲の環境があるだろう。自殺はそれを否定するのではないが、本人にとっては全て消し去りたいということである、それがまず優先順位の最高の位置にある。存在か無で無を選んだにすぎない。無はそれほど忌み嫌うものだろうか。無がなければ存在はない。老人が死ななければ地球は人間で溢れかえる。存在は時に悪となる。おそらく本人にとってはそんなのどうでもいい。とにかく死にたかったのだ。死は否定である。自分を取り巻く全てを否定したかったか、忘れ去りたかったのだろう。復讐の意味合いもある。だがその相手は数ヶ月もたたないうちに知らん顔で生活するから効果はない。私ならもし殺したいほど憎い人がいるなら、その人を確実に殺す以外のことは考えない。憎い相手のために死ぬなんて馬鹿らしいだろう。殺した時の高揚感は凄いものがあるだろう。だがやがてそれも冷めてくる。どうせ歳を取ればあいつも死んだのになあと思い始める。殺人は割に合わない。
それよりも自殺を話していたのだった。自殺も割に合わない。それまで自分が築き上げたものを全てゼロにするわけだからである。だが自殺者の心理はそんなのどうでもいいのだ。子供も肉親ももう自分から関係ない彼方に行ってしまった。地球も宇宙も彼の目には軽いものに思われる。私は自殺者に反論する意見を持ち合わせていない。死にたい人は死ねばいいのではないだろうか。だってこの世は生き続けたい人のための世界だから。死にたい人の余地はない。だが死んだ後、世の中がどう反応するかを見るのは興味がある、だがそれも飽きてきて、永遠の眠りにつく。
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