第12話
ー12ー
女の話はまだ出てくる。他の話をしよう。他にも書いたが私は重度の適応障害だ。この世に一見適応しているように見えるが心の底では異常な違和感を感じている。物に触れても触れた感じがしない。誰かと話しても話している気がしない。歩いていても歩いている気がしない。息を吸っても息を吸った気がしない。私は意識だけこの世の他に放り投げられてそこからこの体を操っている感じだ。
おいしいコーヒーを飲みたい。お〜い、コーヒーといっても誰も持ってこない。一人暮らしだから当たり前だ。こういう時だけ不自由を感じる。女にはいろいろある。ぜひ純粋で素直で優しい女性を皆さん娶ってほしい。ひどいのにひっかかると一生苦労しなければならない。うちの両親も不仲だったが男女はくっつきすぎてはいけないんだ。人間くらいだ。こんなにベタベタしているのは。結婚後は変わりますよ。下手すると財産半分持っていかれますからね。弁護士は優秀なのを選んでね。
なんだおかしな話になってきたな。男は六十、女は七十過ぎたらいつ死んでもおかしくない、いつも死を覚悟しておくように。若くても安泰じゃないよ。
小説を150枚書く話に戻そう。私は今では小説は嫌で嫌で仕方ないのだ。特に読むのが。途中で飽きて、その世界に入っていけない、読み通してない本ばかり溜まっていく。といってもipadの中にだが。書くほうも嫌になっている。書いて何になるというのだ。仮にだな、奇跡が起きて名前が知られるようになっても、もう数年しか人生残っていないんだよ。楽しみようがない。書く意義もない。人にはそれぞれ抱えている問題がある。私にもある。それを抉るように書いてだな、何が変わる。もう何も変わりようがないのだ。生き直すことはできない、あとは死ぬだけ、私より上の世代がバタバタと死んでいる。この事実に目を向けなければならない。私が二十歳だったら小説家になれたことは大変な喜びであるだろう。先のことは何も知らないから嬉しくて仕方がないのである、だが作家として残る人がどれくらいいると思うのだ。既に飽和状態になっている。新人賞が四十あるとして四十数人新人作家になれたとする。その中で残るのは一人か二人である。毎年新人賞はある。新人作家は増えていく、だが読まない世代を相手にしなければならない。新しい世代は自分の作品は読んで欲しいが人の作品は見るのも嫌という世代である。いずれ小説家は絶滅危惧種になるのではないか。
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