生臭い死





     ある日 海から一本の

     大きな腕が伸びてくる




     その時 僕らがさしていた

     大きな傘の上には




     鰯や鯵や鯛やうつぼたちが

     激しく打ち付けられて




     生臭い死を

     届けにくる




     しばらくすると

     あの丘の上のあばら家から




     やってきた 薄汚い浮浪者どもが

     手に持った桶に 魚たちを入れていく




     彼らの貧弱な歩き姿は

     さながら 見えない何者かに媚びるよう




     きっと彼らには 生臭い死が

     甘美な生にでも 見えているに違いない




     ああ、あの虚ろな眼球では

     この世の何事も 見えやしない

     

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