第7話

「んっ、寝ちゃってた。水飲んだら急にお腹痛くなっちゃったんだ。んー、けどもうなんともないな。なんで急にお腹痛くなったんだろ?」


そういい自分が飲んだ水を見て納得した。水は茶色や紫などの色が混ざったような見た目をしていた。見るからに怪しく毒があると一目で分かるような見た目をしている。


(え、僕この水飲んだの?!というかなんで無事なの?!そういえば意識失う時に何かステータスがどうとか聞こえたような...)


カイルはそう思い、自分のステータスを開いた。


名前:カイル・ディア・アルソリア

年齢:15歳

スキル:食事、毒無効、初級毒魔法


「え?!」


カイルは自分のステータスを見て驚きの声を上げた。


この世界においてスキルの取得条件は2種類ある。

覚醒の儀においてスキルを発現する事。これは全国民が15歳になる年に行われる。よって全国民がこれにより最低一つはスキルを持っている。


次に、スキルの書を使用することだ。モンスターを倒した際に極々低確率でスキルの書を落とすことがある。スキルを多く持っている冒険者等はスキルの書を使用している。

また、貴族の中には金にものを言わせ、スキルの書を買い集めている者もいるという。


スキルの取得方法はこの2種類しか確認されていない。しかし、実際にカイルは毒無効と毒攻撃という2種類のスキルを手に入れることが出来た。この事から導き出される答えは...


(やっぱり、このスキル食事の効果だよなぁ)


相変わらず文字化けしてて見ることは出来ないけどまず間違いなくこのスキルの効果だろう。


ともあれ、毒無効を手に入れられたのは良かった。水を見つけることも難しいこの地で毒の水とは言え水分補給が出来るというは大きかった。


(とは言っても見た目的に進んで飲みたくは無いんだけどね)


そう言いつつ、腰に着けていた空の水袋に水を補給しその場を後にした。


(それにしてもずっと森だなぁ、腹も減ったし。なんか食べれそうなものないかなぁ)


そう思っていると離れた所にオークが一体いるのが見えた。


(ひっ!オーク?!さっきのやつかな...まだ、僕を探してるのか?!)


オークに背を向け、逃げようとしたその時。


パキッ


枝を踏み、音を出してしまった。恐る恐る振り返るとオークがこちらに向かって走ってきているではないか。


(無理無理無理無理!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!)


そう思い、逃げ出したのだが、疲れのせいか空腹のせいかドンドンオークとの距離が近づいて来ている。


(はぁはぁ、ヤバい殺される...武器も持ってないのに...ん?そうだ、こうなったら一か八かさっき手に入れてた毒魔法のスキルを使うしかない)


そう思い直しカイルはオークに向き直った。

毒魔法を使おうと思うと、毒魔法の呪文名が頭の中に流れてくる。


「喰らえ豚野郎!『ポイズン・ショット』!!」


すると、手の先からオークの顔2個分位大きさの紫色の玉のようなものが出来た。その玉はオークの顔に向かい発射され、オークの顔にぶつかると水風船が割れるかのように破裂した。


顔に毒を喰らったオークは数秒悶えたかと思うとそのまま息を引き取った。


(はぁはぁ、生きてる...ホントにオークに勝ったのか?!)


カイルは生き残った安堵感と、初めてモンスターを倒した達成感、高揚感を感じていた。

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