第2話

「………カイル・ディア・アルソリア。お主のスキルは…

「食事」である」


しょ、食事?そんなスキル聞いたことない!てか、なんだよ、食事ってそんなのスキルなくても普段からしてるよ!


「しょ、食事ってどういうスキルなんですか?!というか、そんなスキルあるんですか?!」


「ふぅむ..確かに私も初めて見るスキルだ。特殊スキルの一種だろう。ステータスからスキルの詳細を見てみるといい...

まさか、公爵の息子がハズレスキルとは...」


司祭が見下すような目で見ながらそう呟いた。

周りを見渡すと他の子ども達もヒソヒソと笑いながら僕を馬鹿にしたような目で笑ってくる。最初に僕に引っ付いてきてた令嬢達は既に僕から興味を無くしたのか他の貴族の子息たちに話しかけているのが見えた。



「皆の者!今日手に入れたスキルを使い、己を強化し、この国を引っ張る人材になる事を望む!まぁ、一部食べることしか能の無い者もいるようだが」


司祭が笑いながらそういうと周りもつられてわらい出した。僕は居ても立っても居られずその場を後にした。


外で控えていた馬車に乗り込み足早に屋敷へと戻った。


屋敷に戻ると今か今かと待ち侘びている様子の父ゲイルと母ミーナが待っていた。


「おぉ!カイル!帰ってきたか!パーティーはどうだった?友達は出来たか?」


「いや、あんまり話せなかったかな...?」


今回のパーティーは覚醒の儀は勿論だが、同い年同士が集まる初の機会であり親睦を深めるという一面も持っている。


「ふぅむ、そうかぁ...だが、学園もある。今回は話せなかったかもしれないが、そこでなら生涯の友やパートナーも出来るだろう!なんたって母さんとも学園で出会ったんだからな!」


ガハハハと豪快に笑いながら父が言い、母はウフフと笑みを浮かべ話を聞いていた。


「父上、その話は何回も聞いたよ...」


「ん、そうか?そうだ、カイルよ、スキルの方はどうだった?父さんは最初は中級剣術、母さんは中級魔導士だった。カイルなら、上級スキルから発現していてもおかしく無いな!!」


父さんと母さんは戦闘スキルの中でも特に珍しい中級から発現していた。中級スキルから発現した者は総じて成長が早く常人の数倍のスピードで力を付けると言われている。実際父と母はこの国でも指折りの実力を誇っている。現在のランクは二人とも最上級であり、最上級の中でも仙人級に最も近いと言われている。


「もう、あなたったらそんなにプレッシャーをかけないの。カイル、どんなスキルだって私たちは貴方の事を愛してるわ」


「うむ!そうだぞ!俺たちの唯一の息子なんだからな!」


二人には俺以外に子どもがいない。母は元々子どもを授かりにくい体質で僕が唯一の子どもなのだ。普通の貴族なら正妻の他に側妻も娶るものだが、父は母以外を娶るつもりが無かったらしい。


そんな中産まれた僕に父と母はこれでもかというほど愛情を注ぎ育てられた。パーティー会場での出来事で沈んでいた気持ちがスッと晴れたように感じた。


「父上、母上、実は「食事」というハズレスキルを発現致しました...」


「ふむ、特殊スキルの一つか。まぁ、カイルは食べるのが好きだからな!」


「それで、どんな効果があるスキルなの?」


父と母は一切落胆したような様子も無くそう問いかけてきた。

そうだ、ステータス画面をしっかりと見てなかった。覚醒の儀でスキルが発現したらステータスオープンと念じるだけでステータス画面が見れるようになる。


(ステータスオープン)


僕がそう念じると目の前に透明な板のようなものが出てきた。

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