8『夢を走る』日野啓三

芥川賞作家、日野啓三。

今、どういう評価を受けてるんでしょうね? そこはよく知りません。


日野啓三は「都市幻想小説」とでもいうべきシリーズを発表してて、そこに鉱物趣味がちらほら紛れ込んでいるのです。


最も鉱物味が強いのは、『夢を走る』に収録の「石の花」です。

『書物の王国 第6巻 鉱物』にも収録されています。


その他にも『夢を走る』に収録の「星の流れが聞こえるとき」「ふしぎな球」「砂の街」では、

「ああ、この人、天体とか鉱物とか、そういうの好きなんだな~」という描写が見られます。


『階段のある空』『日野啓三短篇選集 上巻』に収録の「七千万年の夜警」では、ビルの中にある化石が登場します。


「化石ってなんのことじゃい?」というと、立派なビルでは大理石がふんだんに使われているでしょう。

その石の中に、鉱物や化石がまぎれこんでいることがあるのです。


もう一冊のオススメ本がこちら!


『街の中で見つかる「すごい石」 』

西本 昌司 (著)

日本実業出版社


作者は、地質のプロです。

そして、街中のビルに使われてる石材に興味を持っています。


この人がビルに入ると、こうです。


「このビルの外壁に使われてる石は、○○年代に○○の産地から切り出されたものだね。ほら、ここに白亜紀の○○アンモナイトがあるだろう。この場所が、○○億年前に海だった証拠だよ。ちなみにこの石は通称○○と呼ばれているが、正式には○○というんだ。それは○○岩を主成分としており、○○を含むことによって独特の発色が……」


まあ、何というか、頭に石ころがつまってるタイプですね。


都市鉱物小説と併せて読むと、きっと面白いですよ!

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