第32話
ご飯を食べた二人はもう少しだけショッピングモールをブラついてから帰ることにした。
「ペアカップとか欲しいよね」
「そうですね!雑貨屋さんで可愛いのがあったら買いたいです!」
「じゃあ、行ってみよっか!」
「はい!」
ショッピングモール内の雑貨屋へ行く為、荷物を持ちフードコートを出た二人。
しかし、遥は何かを見つけたようで直ぐに足を止めてしまった。
「あの子…琴葉ちゃん!ごめん、ちょっといいかな?」
「はい?どうしました先輩?」
「あの子なんだけどね?迷子っぽくない?」
遥が見つけたのは今にも泣きそうな顔で佇む小さな女の子。
「そうですね…。周りに親御さんらしき人も居ないようですね…」
「ちょっと声かけてくるね!」
「あ、私も一緒に行きますよ!」
女の子に近づいた遥は目線を合わせるように屈み声をかけた。
「こんにちは!」
「こ、こんにちは…」
「私は遥っていうのこっちのお姉ちゃんは琴葉ちゃんっていうの、あなたのお名前は?」
「す、すずか…です」
「すずかちゃんって言うんだ!すずかちゃん、今日は誰と来たの?」
「っ!あ、あのね…ママと来たんだけどね、ママがね迷子になっちゃったの…」
「そっか、ママが迷子になっちゃったんだ」
「うん…」
事情を聞き出した遥はすずかちゃんを迷子センターに連れて行くことにした。
お母さんもすずかちゃんを探しているだろうが、そこへ連れて行って呼び出してもらう方が早いだろう。
「すずかちゃんのママなんだけど、もしかしたら迷子センターに居るかもしれないから一緒に行ってみない?」
「ママ会える?」
「会えるよ!」
「行く…」
「よし!じゃあ、行こっか!」
遥はすずかちゃんの手を取り、迷子センターへ向けて歩き出した。
◇
迷子センターへ着きひとまず受付へ向かう。
すずかちゃんのお母さんが来ていないか確認し、呼び出してもらうことに。
『本日もイ○ンモールへお越しいただき〜』
直ぐに館内アナウンスで迷子のお知らせが流れる。
三人はすずかちゃんのお母さんが来るまで、待合室のベンチで座って待つことにした。
「ママ居ない…」
「大丈夫!すぐに来るよ!」
「うん…」
「すずか!?」
「あっ!ママ!」
「良かった…」
「ママー!」
すずかとその母親のやり取りをほっこりした気持ちで眺めていた二人。
そんな二人に気付いた母親は椅子米を正すと
深く頭を下げつつお礼を言った。
「本当にありがとうございました。ちょっと目を離した隙に居なくなってしまっていて。私も慌ててしまって、色んなお店の中を覗いて回っていたのですが…」
「いえいえ!気にしないでください!私達もたまたま気付いただけなので!」
「ありがとうございました!」
「お姉ちゃん!ありがと!」
そう言ってすずかちゃんとお母さんは手を繋いで帰っていった。
「私達もお買い物して帰ろっか!」
「そうですね!」
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