第6話 side 琴葉3

 本日最後…の予定です。ここまでお読み下さり。ありがとうございます。


 それでは、どぞ(っ´∀`)っ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 


 そうして先輩の用意してくれたご飯はとても美味しそうだった。


「簡単なものしか無いんだけどごめんね?」

「い、いえ全然!」

「じゃあ…食べよっか?いただきます!」

「い、いただきます…」

「ど、どうかな?あんまり人に食べてもらう事がないから…」

「とっても美味しいです!」

「ふふっ!ありがと!」

「とっても…とっても…美味しい…です」

「!?」


 先輩の料理はとても美味しくて、とても温かかった。

 気付くと私は泣いてしまっていた。

 慌てた様子の先輩が隣に座り「大丈夫?」と声をかけてくれた。


 そこから私は自分の事情を先輩へと話した。

 先輩は時々相槌を打ちつつ、私の話を真剣に聞いてくれた。


「……そう…だったんだね…。話してくれてありがと。ごめんね…もっと早くに声を掛けてあげられなくて…」

「い、いえ!先輩は何も悪くないです!」

「ううん…気付いてたの…。

 偶に見ちゃってたし…でも、何て声をかけたらいいか分からなくて…」

「……ッ!!」


 気付くと私は先輩の大きな胸に顔をうずめていた。


「今まで辛かったよね…。でも、これからは私に何でも言って!力になるから!」

「……ッ!!」

「辛かったら泣いていいんだよ!私なんかの胸で良ければ何時でも貸してあげるから!」

「ほ、本当に良いんですか?」

「うん!」

「うぅ……うぅ……」


 そう言われた私は涙が止まらなかった。

 そんな私を先輩は優しく抱き締めてくれた。


 泣いていた時間はそんなに長くは無かったと思う。

 しかし料理が冷めてしまうには充分な時間だったようだ。

 先輩に温めなおすか聞かれたが、それを断り少し冷めてしまった料理を食べる。

 料理は冷めてしまっている、だが一口食べる事に心が暖かくなっていく。

 完食はあっという間だった。


 片付けを申し出たが、お客さんだからと断られてしまった。しかしそれでは気が済まない私はお手伝いだけでも…と言い片付けを手伝った。


 片付けが終わり先輩に今日のお礼を伝えると、今後も一緒にご飯を食べないかと誘われた。私はとても嬉しくなってしまった。

 その後は食事を共にするにあたり、色々なルールを決め連絡先を交換し、それが終わった後は学校での事についてお話した。


(ど、どうしよう!先輩の連絡先貰っちゃった!)


 なんて思っていると、先輩が時計を見つつ

「時間だいぶ遅くなっちゃったけど…大丈夫?」

 と聞いてきた。


「は、はい…大丈夫です。帰っても、誰も居ませんから…」


 そう返すと先輩は何かを考えた後

「もしよかったら…泊まってく?」

 と言ってきた。


「えぇっ!?」

(と、泊まり!?)


 突然の事過ぎてつい大きな声が出てしまった。


 するとそれを嫌だったと思ったのか、先輩が「冗談だよ」と言うので悲しくなってしまった。

 それが顔に出てしまっていたのか、先輩が苦しそうな表情をした後に

「と、泊まってっていいよ!」

 と言ってくれたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る