第12話 速達性への挑戦~緊急出版の成果

 かねて私は、自己出版はスピードが命と申し上げて参りました。

 では、どのくらい早く出版でき、手元に本が届くようになるか。


 このテーマを実をもって(!~身をもってだけど、実も蓋もある話)実践する機会がなんと、2023年10月中旬に滋賀県で発生しました。

 滋賀県首長会議で、同県の東近江市長・小椋正清氏(以下「小椋氏」)が不登校問題に関連してフリースクールへの支援についての課題が出た中、それに対する小椋氏の意見が報道関係者に知られ、大きく報道されたのです。

 当然これは全国的に大きな反響を呼びました。

 この事件の元となった会議が行われたのは、10月17日(火)の午後。

 その日のうちにはテレビ、翌日には新聞と、多数の媒体で紹介されました。

 ネット上においても、その日のうちに記事が配信され、それに多数のコメントがつく事態となりました。

 それ自体は、ごく普通の流れです。

 この翌週の25日(水)の午前10時過ぎより、小椋氏は記者会見を開き、かねての自説を釈明するとともに、配慮の足らない言動で不適切であったと実質的に認めることに。

 ここまでで、8日間。

 その間、滋賀県内外の政治・行政関係者より様々なコメントがでました。

 どれも、小椋市長のはしごを外す方向のものばかり。

 そしてその2日後の27日(金)、小椋氏は不登校関連のフリースクール関係者2名と面会し、謝罪。

 ここまでが、この事件の流れです。


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 その流れに対して、私の出版に関する流れは、こうです。


 この事件を知ったのは、当日ではなく、翌朝でした。

 いつものようにニュースとネット記事をチェックしていたところ、その記事が上位に出ていて、何事かと思って読んだ。それが、翌10月18日の水曜朝。

 しばらくネットで情報を収集しつつ、何かできないかと考え抜いた挙句、いよいよ動き出したのが3日後の20日・金曜日。こちらのカクヨム上に、一種「褒め殺し」的な文章を「うP」しました。

 それからしばらくカクヨム上の作品群を更新しつつ、22日・日曜までにそれまで書いた原稿をワードの書籍用フォーマットに落とし、さらに編集。それだけでは足らないので、他の作品群からもいくつか引用するなどして25頁の書籍となるようにまとめ上げ、早めに寝て早めに起きた翌23日月曜未明の3時過ぎにPOD出版の出版登録し、さらに電子書籍の出版登録もしました。

 21日と22日が土日となり、基本的にこの手の話はそこでリアルの動きがある程度停まることを見越し、それまでの情報をもとに一気に文書を起案しました。

 さらにそれを書籍としての体裁が得られるよう、編集していったわけです。

 本書では、白黒にした写真も本文内に数点掲載しています。


 登録した2日後の25日・水曜日には、アマゾンの販売頁が完成。販売頁が完成すると、しばらくしてからメールの通知も来ます。もっとも常日頃確認する習慣がついてしまえば、メールが来るよりも先に販売頁ができたことが確認できます。

 それについては、また別の機会に詳しく述べましょう。

 

 いずれにしても、本が発売されるとなったら、こちらで予め購入しておく必要があります。そこは、残念ながら無料でというわけには参りません。

 今回も、通常の本と同じペース販売頁が完成しました。それを確認できてすぐ、早速3冊予約しておきました。書籍発売日は、10月30日。これは出版申請日からちょうど1週間後。当時のネクパブ、その後11月よりパブファンセルフさんの場合、POD出版におけるタイムラグは、最短で7日です。なお、電子書籍のほうは出版がもう少し早く、10月26日の木曜日に発売開始となっております。


 さて、私が意識しているのは電子書籍ではなくPOD出版の紙の本が、最短でいつ届くか。

 10月25日にアマゾンの商品ページができたと同時に予約していましたが、30日の販売開始より2日後の11月1日・水曜に印刷されて発送、その3日後の4日・土曜日の朝に届け先のコンビニに到着し、その日の昼過ぎに受取りました。


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 この結果を総括すると、POD出版においてある事件について緊急速報的に出版する場合、おおむね2週間ほどあれば足りるという結論になりました。

 事件発生から情報収集、執筆そして編集に至るまでに初日不算入で5日かかっている。さらに出版登録完了時点から書籍が届くまでが、今回に関してはこちらも初日不算入で計算して11日かかっている。なお、電子書籍については事件発生から販売開始まで初日不算入で9日かかっていることになります。


 これまで述べてきた経緯と総括を踏まえて言えることは、以下のとおりです。


 速達性を考えれば、電子書籍の方が優れている。

 あくまでデータをダウンロードしてもらうだけで済むから、データさえ入ればあとは購入者を募るのみ。購入希望者が現れたら、入金確認後すぐダウンロードしてもらえばいい。事件から10日弱で出版もできる。場合によっては無償もしくはそれに近い金額で読んでもらえる。それこそ新聞並の速さで、個人が出版物を他者に提供することも可能ということになります。


 紙媒体に落とし込むPOD出版の場合は、紙に印刷する手間と発送する手間がかかるため、そこはどうしても時間がかかる。

 しかし、今回の実験的出版においてかかった時間を見るに、初日不算入で17日という結果が出ていますので、これなら、週刊誌並の速さで個人が出版物を自ら不特定多数の他者に提供し得る環境が整えられるということになります。


 かくしてできた書籍の題名は、

東近江市長発言を、斬る!


 ちょっと物騒な感じもしないではない表題ですが、ペンの力で戦うことを考えればこのくらいでちょうどいいかもしれません。

 あいにくこの書籍のアマゾンにおける順位はあまり上がっておらず、さほども売れていないようです。しかしながら、本書を出版するという実験で得た成果は、これもまた私にとってはひとつのノウハウが金銭の負担なく得られたのも同然。


 なるほど、こんなところにも可能性があるのかということに気付かされました。

 来る2024年も、機会があれば実施してみたいと思っています。


 なお、今回の書籍の続編については、2024年の早いうちに総集編としてまとめた上で改めて出版する予定です。 

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