猫の鈴
おもながゆりこ
第1話
会社勤めしていた頃の事。
お客さんへ商品を送る際に○○便を使っていました。
ですがそこは配達員の仕事が荒く、荷物を投げたり落としたり、酷くて、
お客さんの所へ届いた際に箱の中で破損している事が多々ありました。
○○便のせいにする訳にいかず、
会社が弁償して新しい商品を再発送していましたが、
それでは我が社が損失をします。
その上その配達会社はノルマが厳しいらしく、
他社の配達会社で出そうとしても、配達員が
「ここに置いておくのが悪い」
などと言いながら自分の会社の伝票に勝手に書き換え、荷物を出していました。
それこそルール違反です。
我が社でも問題になり、別の配達会社を使う事に決まりました。
次に○○便の配達員が来た時に、それを話し、
もう我が社から荷物は出せないから来ないで欲しいと言うという事になりましたが、今度は誰がそれを言うか、で揉めました。
誰もそんな事言いたくありません。
何で返されるか分かりませんから。
猫の鈴、という物語を思い出します。
結局私が言う事になり、遠慮しいしい言った所、
その人はなんやら言い訳しましたが、
こういう理由でもう出せない、会社として決まった事だと伝えると、
肩を落として帰って行きました。
悪かったかな。
ただ、嫌な役目を引き受けた事で周りから気の毒に思われたのか、
有名な歌手のディナーショーのチケットを上司からもらえました。
おいしいご馳走をたらふくいただき、生歌を堪能し、
有名歌手を間近で見られ、少し溜飲が下がりました。
○○急便さん、ごめんよ。
ただその何年かの後、その配達員さんと別の場所で会った事があるのですが
「あの時は僕の方こそ悪かった。あんな事、言いたくなかったでしょう、
嫌な思いをさせてごめんね」
と言ってくれました。
「おもながさんが僕を傷つけないように、気を使って言ってくれているのが
凄くよく分かったから、僕は決して傷つかなかった」
とも。
その時点で新しい職場に転職していた上、
結婚したばかりで凄く幸せだと話してくれました。
聞いていて、私の方が嬉しくなりました。
ああ神様。この人を幸せにしてくれて有難う!って心から思えましたよ。
皆さん、言いたくない事を言わざるを得ない時ってありますよね。
誠意を持って傷つけないように言えば、相手は分かってくれますよ。
それでは今日も良い一日でありますように\(^o^)/
猫の鈴 おもながゆりこ @omonaga
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます