第27話
次に向かったのはメンズ向けの洋服屋。
休日という事もあって中は多くの人で賑わっている。
前世では基本家に引きこもっていたので人酔いしそうだ。
「ねえ
「えっなんでだろう? 体質?」
本来の
原作では人ゴミが苦手と言った描写は無かったと思う。
まあ二次創作小説では設定が盛られたりしているがそれは本物ではない。
原作を
スピンオフは
「さっきの洋服店も苦手そうだったけど……」
「うん。それは女性向けで完全アウェーだったのと昔母親に着せ替え人形にされたせいか、洋服店とかあんまり得意じゃなんだよね」
前世の俺のこんな性質を受け継がなくてもいいのに……俺はラブコメの神様を心の中で呪った。
「それじゃあ普段の休みは何してるのよ?」
「ゲーム?」
少なくとも前世では家事とゲーム後はだらだら動画を見て過ごしていた。
「どうして疑問形なの」
「自分でも自信が無くて……」
「はあ……洋服はある程度私が選んであげるけど最終的な決定は自分でしなさいよ?」
「はーい」
当初の予定通り洋服を買うのに付き合って貰う。
下はジーパン上は適当に来ていればそれっぽい理論を捨て去る時が来たようだ。
今日も中学生ファッション丸出しの服ばかりで、着ていく服が見つからなくて割とやばかったし、お洒落な
「どんなのが嫌?」
好きなものではなく、嫌いなモノを訊いて来るが彼女らしい。
「華美なのとパツンパツンなの……あとは……肌ざわりが嫌なの!」
「派手な色使いで密着してシルエットが出るようなものがダメなのね……妥協しなさい」
「おい」
思わず突っ込んでしまう。
どんなのが嫌か訊いた癖にそれを早々に無視するのかよ。
「お洒落とはやせ我慢よ。女が冬場にミニスカを穿くのはね、勝負に出ているからよ? 寒くて冷えたって目の前の男を落し他の女と差を付ける為なの」
「え、いやだそんな現実知りたくないんだけど、そんな白鳥理論……」
因みにホーホケキョと
「おしどり夫婦」で有名なオシドリは毎年パートナーを変える。
世の中には知りたくないことは多い。
「男が見えを張るのと同じよ」
「OK完全に理解した」
中学生になると飲めもしないブラックコーヒーを買い、渋い顔をしながら啜ったりするアレだ。
こうして俺はメルちゃんやぽぽちゃんのように、
「ほんとにこれを着るのか?」
「文句を言わない」
試着室で
個人的な話、洋服一着に数万円払う奴は全員バカだと思っている。
だけど見えを張る職業、接客業全般で言えば高級なスーツや時計は会話にも使えるし、雰囲気を演出する小道具にも使えると考えれば、たまの休日に男女問わず遊びに行くときに使う勝負服には金を積むべきともいえる。
洋服のコーデとはゲームで言えば、攻略サイトや実況者が教えてくれるテンプレ装備や構築済みデッキが『マネキンコーデ』のことだ。
しかし
決めた。マネキンコーデか店員さんに予算を言って一式決めてそれを買おう。
配信者が行うLIVE配信の相談会があれば率先して参加して自分で考えず楽をする。
そういう奴を増やすことでPVや同時接続数を増やし、養分を増やすことを目的にした配信者の餌となる人生。
だけど皆何かの養分なんだ。
俺は考えるのをやめた。
――――ふと鏡を見る。
清潔感
悪役顔の俺でもこの服を着ればかなりマシになった。
この服さえあればこれからの外出の際に、何か悪役イベントが起きたりする心配は減るだろう。
「これぐらい揃えれば、今シーズンは大丈夫。あとは季節ごとに買い足していくぐらいでちょうど良さそうね」
「本当にこれだけで着まわせるのか?」
袋一杯に洋服が詰まっているもののこれだけで戦えるとは到底思えない。
「大丈夫よ。組み合わせが不安なら今度全部の組み合わせ教えてあげるから、スマホで撮影しておくといいわよ」
「助かる……」
「ベつに良いわよ。普段迷惑かけているし……」
「気にしなくてもいいのに……」
「そう言われて本当に気にしないでいられる人間は異常者だけよ」
「それにしても近所にユニシロとGVとかが合ってよかったよな……」
「
確かに俺見たいな顔付きの人間がハイブランドに身を包んでいたら、不良や反社に見えるだろう。
しかし面と向かって言われると少し腹が立つ。
「そんな姫騎士みたいな台詞を言われても……」
「残念ながら私は姫でも女騎士でもないけれど……
「人が気にしていることを……」
「ふふふ。ごめんなさい次はどこに行く?」
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