4‐2

「どうなりますかね」

「……こればっかりは天に任せるしかないよ」

「そんな無責任な」

「僕はあくまで道を繋げる手伝いができるだけだよ、それ以上は介入できないしする気もない」


 彼は無慈悲にそう言った。

 何かできることはあるとボクは思うのだけど、彼はそれすらする気もないらしい。

 本当に知っているあのカインなのだろうか?


「変わりましたね」

「そうかな? 僕は元々こういう人間だよ」


 ……どんどん理想が壊されていくなぁ~。 


「そうですか」


 これ以上この話すると、どんどん彼への幻滅が加速していくのでそれ以上は何も言わなかった。


「フィナはどうする?」

「ボクは行きますよ、両親もいないし」

「そう、だったね……」


 あの頃の光景は今でも鮮明に残っている。

 炎の中ボクを一生懸命守る為戦い死んでしまった両親の事を。

 

「もう少し早かったら君の両親も……すまない」

「それを言うのは違いますよ、ボクが生き残れたのは貴方のおかげです。

 謝られても困ります」


 本来ならなくなるはずだった命を彼は救ってくれたのだ。

 両親を救えなかったのはボク自身が弱かった。

 ただそれだけなのだから。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る