第10話

4時間目が終わり昼食の時間になり、

玉楼が俺とラミアの席に来て、

『京夜、ラミアさん昼飯どうする?』

と聞いてきたが、すぐに何かを察したのか

『すまん…ラミアは血液以外飲めないんだよな』

と謝ってきた。

『誰だ?この胡散臭い人間は?』

と俺に聞いてきたから、

『こいつは白波玉楼。俺の友人だ。

できればこいつとも仲良くしてやってくれ』

と玉楼を紹介した。

『そうか。“できれば”仲良くしよう』

となんか変な所が強調したように答えた。


『そう言えば昼だっけ?

一応人間と同じ食事はできるけど、

ラミアは違うみたいなんだ……

理由は言えないけど……』

『そっか……ならまた今度ラミアさんも

一緒に食おうなー』

とそう言って玉楼は食堂へ行った。


『それでお前昼どうするんだ?

まだ、俺の血吸ってないだろ?』

『そうじゃな……

では人目のつかないところに行くとしよう』

そう言われて俺はこの学校で、

人目につきにくい場所である、

屋上付近の階段にラミアと移動した。


『それではいただくとしよう!』

と舌舐めずりをしながら近づき、

俺の首に噛み付く。

『やはり、京夜の血はうまいの〜』

『正直、痛くはないが、なんか恥ずかしいな……』

そんなことを言っているとラミアは満足したのか

俺から離れた。

『昨日の晩はあんなに嫌がっていたのに

今回は抵抗しなかったの』

『そりゃそうだろ……

自分の命がかかってるんだから』

するお何故か京夜の顔が目の前にあった。

あれ?あれあれ?

私背後に回って吸っておらんかったっけ?

と困惑しながら自分の状況を確認した。

京也の膝の上に乗り、首に手を回していた。

『……!』一瞬で顔が熱く、赤くなり

鼓動も速くなっていた。

しかし、京夜はそっぽを向いて、

気付いてなかった。

ふっふっふ。

これは場合によってはからかうことが出来る!


『なんか顔が赤いがもしかして、

照れておるのか?お主? 初心じゃのー』

『そ、そんなわけないだろ!

お前がくっついて暑かっただけだ!』

俺だって健全な男子高校生だ!

めちゃくちゃ良い匂いがしたとか

いろんな所が当たっていたとか

柔らかくて気持ちよかったとか

絶対に言えない!

言ってしまったからこいつは俺をからかうからだ

『そうか?それなら良いのじゃが……

なら教室に戻るとするかの』


と何事も無かったかのようにラミアは俺から離れ

こちらを睨みつけてから階段を降り、

教室に戻っていくのであった。


なんじゃ?この感じは

なんか少し残念な気持ちになっている

私がいる?なんかモヤモヤする……

『なんなのじゃ?これは?』


教室へ戻ると私の席にニンニクが

大量に置かれていた。

その様子を見ていた女子生徒が一人近づいてきて

『あんた転校生のくせに生意気なのよ。

何が吸血鬼だよ!

高校生にもなって厨二病かよ。』

と喧嘩腰に話し始めた。

『私はお主らに何か機嫌を

損ねるようなことをしたかの?』

『は?理解していないわけ?』

『わからぬ』

『吸血鬼なのかどうか知らないけど、

私達を馬鹿にしてるの?』

『別に馬鹿にはしておらぬ……

だが、鬱陶しいだけだ』

『は?何それ?』

『ふざけんじゃねーよ!』

そう言って女子生徒は手ににニンニクをもち

私に近寄って来た。

『京夜からはお主らと仲良くするように

言われておったと言うのに。

やはり人間は私を受け入れないのじゃな……

京夜すまぬ……』

そうして、私はその手で持っているニンニクを

手で掴み取り逆にその女子生徒に近づき、

『人間風情がこの程度で吸血鬼を

ビビらせられるとでも思っていたのか?

確かに嗅覚とかは人間のそれより敏感だから、

近づくのすらも苦手という吸血鬼はいるだろ。

それに貴様は吸血鬼の事を少し舐めておるのか?』

『そ、それがどうしたっていうのよ』

『まだ分からぬか?

その足りない脳みそで少しは考えてみたらどうだ?

小童が……つまりこういう事だ』

そう言うと私はニンニクを

目の前の女子生徒の口に捩じ込もうと

押し倒し、口を無理やりこじ開けねじ込む寸前で、

その手を京夜が止めた。

『これは一体どう言う事だ?

説明してほしんだけど?』

『この小童が喧嘩を売ってきたのでな、

それを買っていたところじゃ。邪魔をするでない』

とラミアが答えたが、

『お前に聞いてない……ラミア…その手を離せ』

するとラミアはすぐに女子生徒から手を離した。

その後京夜は質問してたラミアの下にいる相手を見た。

『お前に聞いてるんだよ……

ラミアは意味もなく人に危害を加えない……

お前が何かやったんだろ?速く答えろ』

そうやってその女に再度質問した。

『こ、こいつが生意気な態度ばかり取って

腹が立ったのよ!だからちょっと思い知らせようと家庭科室の冷蔵庫から持ってきた

ニンニクを机に置いたのよ。

吸血鬼はニンニクが苦手って聞いたから』

『確かにこいつの言動は目に余る所があると思う。

だけど、やっていい事と悪い事の

区別はできる年齢だろ?

お前がやっているのはもはや

嫌がらせ……

いや違うな……

窃盗をした上にいじめに発展させようとした』

そう話すとその女子生徒は泣き出してしまった。

『ここまでするつもりはなかったんだけどな……』と俺が困っているとラミアが

『話は終わったか?なら続きを始めようか?小童』

といラミアは告げ再度、泣いているその女子生徒の口にニンニクをねじ込むもうとしている。

『お前ももうやめろ…大人げないぞ』

そう言ってラミアを抱えて、席に座らせた。

『これに懲りたらもうこんなことやめるんだな。

ラミアが本気を出せば、

多分俺でも止められないと思う。

つまり次はないって事だ。

それにしてもこの匂いは

流石に人間でもきついだろ……

速くなんとかしないと面倒なことになるな』

そんな事を話しているとクラス中から

倒れて泣いている女子生徒へ

『速く戻しに行けよ……匂いきついんだよ』

『流石に引くね……』

と言った内容の言葉が飛び交っていた。


『仕方ないか……おい立て

バレないうちにあのニンニクを

どうにかしないと行けないんだ。

俺もう生徒指導室に行くのは嫌だぞ…』

そんな事を倒れている女子生徒のへ言ったが、

ずっと泣いていて起き上がろうともしない。

そのため首根っこを掴んで、無理やり立たせた。

『ほら、ささっと戻しに行くぞ』

そいつは泣きながらではあったが、

頷き付いてきた。


家庭科室に行っている途中、泣き止んだのか

『なんでチクんないの?』と声を振るわせながら、

そんな事を聞いてきた。

『あーそれは……』校長にバレたら

碌なことにならないからだ!

なんて言えないよなー。

『あーそれは昨日からほとんど

生徒指導室にいるんだよ。

だから授業もまともに受けられてないんだ。だからこれ以上授業に参加できなかったら、

テストにも影響が出るかもだからかな?

対した事ではないし、別にお前の為でもない』

そんな事を話していたら家庭科室に着いた。

『これ鍵かけてあるだろ?

どうやって入ったんだ?』

『普通に入れる』

そうすると女子生徒は

普通に扉の鍵を開けて中に入った。

『おいちょっと待て……鍵はどうした?』

『ぴ、ピッキングしてあげた』

『マジ?』

『マジ……』

こいつまじか!ラミアが転校してきたのは

今日だぞ!って事は

毎日道具を持ち歩いてるのかよ!

『おまえピッキングは何のために?』

俺は頭を押さえながらそんな事を言った

『主に家の鍵を無くしたときとか』

『そうか…犯罪には使ってないんだな?』

『うん…お母さんから渡されて覚えた』

『分かった…とりあえず元に戻すぞ』

『うん……』

教室に戻る途中気になったから聞くことにした。

『お前名前はなんて言うんだ?』

『クラス同じなのに知らなかったの?』

『知らない!お前みたいな奴』

はぁとため息をつきその女子生徒は名乗った。

『あたしは工藤悠(クドウユウ)だよ?鬼竜くん』

『よろしく。工藤さん。

とりあえず今日中にはラミアに謝って

仲直りすること。あのままだと俺が疲れる』

『ラミアさん許してくれるかな?』

『大丈夫だろ。

なんなら余計なこと言いそうになったら

止めようか?』

そう提案したが工藤さん首を横に振り

『自分でやる。これは自分が蒔いた種だから』

『そっか……なら頑張れ。

出来ればそのままあいつと

友達になってやってくれ』

『分かった』

そうして俺達は教室に戻った。


教室内はニンニクの匂いはしなくなっていた。

『これならバレないだろ』

そうしてチャイムが鳴り

午後の授業が始まるのであった。

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