第2話

“そんなっ……”


大勢の人が行き交う街中、数メートル先にいる男女は、手を繋いで仲睦まじく歩いている。


男の方は、どこか俺に似た顔立ちの全く知らない相手。


女の方は、俺の最愛の彼女・麻美子さん。


その麻美子さんが、浮気をしていた。


と言うより、俺が麻美子さんの浮気相手だった。


なんとなくだが、他に男がいる気配はしていた。


付き合う前からどこか曖昧だった理由を思い知らされ、目の前で繰り広げられる現実を突き付けられた。


“これが現実だなんて嫌だ…… 麻美子さんは、俺の恋人だ!”


知らない男と腕を組んで歩き、体を密着させている麻美子さん。


初めて愛した女性が、麻美子さんが、俺を裏切るなんて……


“これが、怒り?”


愛した人に対する感情に、俺は戸惑いを感じていた。


恋人に裏切られた事を知った時、俺はどうしたらいいのか?


俺は、麻美子さんに怒りを感じている?


深く愛し合った麻美子さん、俺はどうしたら?


『復讐』


二人の後ろを歩き、その後ろ姿を見つめていると、禍々しい二文字が俺の脳裏を過った。


それは愛する人を悲しませる事でもあって…


裏切られても、麻美子さんを愛している。


彼女を悲しませたくない。


どうしたらいいのか?

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