俺はパパ
浅緑麻実八
第1話
「麻美子さんは、俺の彼女でいいんですよね?」
唐突に俺は、一人の女性に思いの丈をぶつける質問をした。
「えっ……」
俺の言葉に、最愛の彼女・麻美子さんが驚いて固まっている。
それもそのはず。
俺の言い方は、既に交際している前提だったから。
手を繋ぎ、キスを交わし、体の関係も持っている、深い仲の女性。
そんな女性なのに思いの丈をぶつけた理由は、麻美子さんがいつでも曖昧だったから。
深い仲になる前から、なぜか彼女は頑なに言わなかった。
好きな男や恋人の存在を。
いるかいないか、それだけ言ってほしかったのに、絶対に言わなかった。
そんな曖昧な雰囲気で、彼女は俺にすり寄ってきた。
そして、自然と男女の関係になった。
だからこそハッキリしてほしかった。
俺が恋人かどうかを…
「はい、彼女ですよ。」
ニコッと微笑んで、麻美子さんは答えた。
「………えっ、それは?」
その返事に、今度は俺が驚いて固まった。
『違うよ。』
冷たい一言が返ってくると思い、不安に苛まれながら身構えていた。
そんな中で返ってきたのは、まさかの嬉しい返事だった。
「そ、それじゃあ、これで俺たちは?」
麻美子さんが、俺の両手を握った。
「はい、恋人同士ですよ。」
かわいらしい微笑みを浮かべる麻美子さんの瞳に、俺は確かに吸い込まれた。
「えっと、その…… 至らない俺ですが、よろしくお願いします。」
自分の頬が熱くなるのが分かった。
きっと今の俺は、真っ赤な顔をしているだろう。
「私こそ、よろしく。」
はい、と頷き、俺は麻美子さんを抱き締めた。
ずっとずっと大切にして、守っていくと決意をして…
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