3年生 3

珍しく私が恥ずかしいから嫌と言っても、アレックスは「ジュリちゃんはお人形さんみたいで可愛い」と言ってやめる事はなかった。


最初は恥ずかしいと思っていた事もしばらく続けばなれるもので「今日も可愛いね、キラキラしてて可愛い」と毎日の様に褒められて、アレックスだしいいかと思うようになっていた。


父は相変わらずだったが、最近家に居る事が増えた。

それでも私は「アレックスの家で遊ぶ」と言って自宅に居ることは少なかった。

父の機嫌を伺いながら過ごすよりもアレックスの家に居る方が楽だった。


父もいつも私がアレックスの家に居るので何も言わなかった。


ある寒い日父が急に遠出をするからついてこいと言い出した。

私はドライブは好きだったので喜んで行った。


アレックスも一緒で、他の父の友達も別の車で一緒に来た。


とても長い時間移動して誰かの家に着くと父が女の人を連れてきて私に言った。

「今日から一緒に暮らすお前のお母さんだぞ」

私は意味が分からなかった。

アレックスの後ろに隠れて一生懸命考えてると父に腕を引っ張られて「挨拶くらいしろ」と睨まれた。

「こんにちは」そう言うのが精一杯だった。


今までお母さんと呼べと言われたのはスナックのお姉さんだったり、何回か会ったことある人だったがこの人は初対面だ。

しかも今日から一緒に暮らすって言ってる。


私は一生懸命考えた結果、父の邪魔をして怒られないようにしないといけないと思った。


何とかこんがらがってる頭を働かせて荷物を車に運んでるその女の人に近づいて「お手伝いします」と私は笑いかけた。


父の彼女らしいその人は「お利口さんねー、お父さんが言ってた通り」と褒めてくれた。


単純な私はそれだけでその人と仲良くできるかもと思ってしまった。


それからまた長い時間をかけて父の彼女を連れて帰宅した。


家に着くと荷物を運び込んで皆でその人の歓迎会と言って飲んだり食べたりしていた。


私は細々したお手伝いをしたり、父やその友人にビールを持っていったりと頑張って怒られないようにしていた。


夜遅くまで続いた歓迎会がお開きになると私は自分の部屋で寝た。


明日からあの女の人と仲良くして父を喜ばせないと。


そう思っていた。

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