狼と羊3

体がビクビクしてだるかった。

少し怖かった。

よく分からないまま私はぼーっとしていた。


この時初めて絶頂の感覚を知ったんだと思う。

でも、私はそれを理解はしていなかった。

ただ、ただ不思議で変な感覚だった。

アレックスは「ジュリちゃん、どう?嫌な事忘れた?」と聞いてきた。

私は不思議な感覚にびっくりしすぎて、一瞬何の話?とすら思って、そういえば父に殴られたあとだったと思い出した。

それを忘れてた事にまたびっくりして「忘れてた」と

思わず口にした。

そんな事は初めてだったからすっごく驚いていた。


そんな私を見て「良かった、いつでも忘れさせてあげるからね」と優しく笑いかけてくれるアレックスに

私も笑い返していた。

アレックスは本当に魔法使いみたいな人だと私は思っていた。

それから父に殴られたり、怒られたりするとアレックスに「この前みたいに忘れたい」とお願いする様になった。

最初は少し怖かったけど、嫌な事を一瞬で吹き飛ばしてくれるその感覚に私は少しずつ慣れていった。

慣れてくるとアレックスの「ムズムズは気持ちいい」と言っていたのが少し分かるようになってきた。

アレックスは私に「声が出そうだったら猫ちゃんの真似をしてね」と新しいルールを作った。


私は「アレックスが狼で私は羊じゃなかったの?」と聞くと「猫ちゃんの方がジュリちゃん好きでしょ」と笑って言われた。私は確かに羊と猫なら猫の方が好きなので納得した。

それから暫くすると嫌な事がなかった日も「ジュリちゃん気持ちよくなりたくない?」と聞かれる事が増えた。

最初は「なんで?」と聞き返していたが、アレックスが「聞いただけだよ」と答える時に少し残念そうにしてると気づいたので、「アレックスがしたいならいいよ」と答えるようになった。

「ジュリちゃんは優しくて良い子だね、ジュリちゃんが気持ちそさそうにしてるのを見るの好きなんだよ」と言われて、アレックスが喜ぶならと気持ちいいごっこ遊びは日常に馴染んでいった。

いつの間にかそれはごっこ遊びから私とアレックスの普通になった。


これから長い間その行為が私の生活の一部になるなんて私はその時知らなかった。

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