アレックス

アレックスは父の親友で優しい人。

私にとっては救世主でもあった。


その人とこれからは毎日の様に一緒に居られると

私はとても喜んだ。

アレックスは私に家の鍵を渡してくれて、

「好きな時に来ていいからね」と言ってくれた。


私は学校から帰ると真っ直ぐアレックスの家に行くようになった。

と言っても長家の隣なので壁1枚しか変わらない。


父は帰ってきた時は玄関ではなく壁をコンコンとノックして私を呼ぶ。

一度家に入ったらわざわざ呼びに来るのは面倒だったようだ。


私にとってアレックスの家は天国だった。

怒られないし、殴られない。

アレックスはおもちゃやお菓子も買ってくれて、

リビングに私のスペースを作ってくれた。


そこのスペースならおもちゃを並べたままでも次の日にそのまま遊んで良いと言ってくれたし、友達も連れてきたかったら連れてきて良いと言ってくれた。


残念ながら連れてくる友達はまだ居なかったけど。


それでも私は今までと違ってビクビク怯える必要が

ない場所が出来たことが嬉しかった。


最初の頃は父は私に夕飯を作るために帰ってきていたがアレックスが「自分のも作るからついでに食べさせとくよ」と言うと次第に仕事からパチンコ、スナックへと直行する様になった。


アレックスはいつも一緒に遊んでくれて、人形遊びもおままごとも一緒にしてくれたり、家の中でかくれんぼをしたりと毎日がすごく楽しくなった。


休みの日でも私はアレックスと居る事が多かった。

父は朝からパチンコに行って飲んでからしか帰ってこないから午前様だ。


アレックスは公園にも連れてってくれたし、一緒にお買い物に行くと毎回何か買ってくれた。

疲れたと言うと抱っこしてくれて私は父にした甘えれなかった分アレックスに甘えた。


私はぬいぐるみが好きでいつも猫のぬいぐるみを連れて歩いていた。

それもアレックスが買ってくれた物だった。



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