恐怖
暫くすると父が夜急に居なくなることがあった。
私は真っ暗な家に1人で居るのが怖くて泣きながら父を探した。
最初は家の鍵の開け方が分からなくて外に出れなかったが開け方を覚えると泣きながら外に出て父を探し回っていた。
すると近所のおばあちゃんが「大丈夫?うちにおいで」と言って家に入れてくれた。
一人じゃなくなった私はそこで寝てしまった。
父は朝方帰ってきて私が居ないと気づくと大声で探し回っていたようで、近所のおばあちゃんがそれに気づいて父に声をかけたらしい。
父は私を叩き起して連れ帰った。
私は殴られながら「二度と勝手に外に出るな!わかったか!」と何回も言われた。
必死に頷いて返事をしていたが暫く父の怒りは収まらなかった。
それからも父が居なくなることは減るどころか増えていった。
私は毎晩泣きながら父を探し回っていたが外に出ても家の前から動かなくなった。
また殴られるから。
それでも父の機嫌が悪いと殴られる事はあった。
ある時アレックスが父に「ジュリちゃんずっと泣いてるよ?」と飲んでる時に話していた、私は怒られると思って急いで部屋に走って行って耳をすませた。
父は「あいつは泣いてばっかりなんだわ」と機嫌が悪そうに答えた。
私はおばあちゃんと暮らしてた頃は一人にされた事はなくてお留守番なんてしたこと無かった。
だから日本に来て急に1人にされて怖くて怖くて仕方がなかった。
アレックスは「まだ小さいから一人は寂しいんじゃないの?」と言って私も出かける時連れて行ったらいいと父に言った。
それから何回かは父が夜中に出かける時に一緒に連れて行って貰えた。
お姉さん達とお酒を飲んだり話したりしてる父の横で私はカラオケを別のお姉さんに教えてもらったりカタコトでお喋りをしたりしていた。
でもそれはたまにで、置いていかれる事の方が多かった。
慣れる事はなくて私は夜寝るのが怖くなり父が寝るまで寝たフリをする様になったのだが、それはそれで「嘘をつくな!」と父を怒らせるだけだった。
それからまた暫くしてアレックスが父に「夜出かけてる時ジュリちゃんを預かろうか?」と言い出した。
私は一人じゃなくなるんだ!と喜んだが父は最初同意しなかった。
だがアレックスは何度か言ってくれて結局父が「アレックスに迷惑かけるなよ!ちゃんと言う事を聞けよ?じゃないと捨てるからな!」と怒りながらも同意した。
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