初めての日本

日本に着いてからは初めての連続だった。


遊具のある近所の公園を車で通り過ぎた時遊園地かと思ってワクワクした。


靴を脱いで家に上がると知らずに入ろうとして怒られた。

初めてお風呂に入った時も体を洗ってから入ると知らずに怒られた。

父は怒るとすぐに手が出る人だった。

私は早くもおばあちゃんの所に帰りたいと泣いてばかりいた。


父はいつも「泣いてばっかり居たらお前を捨てた母親のとこに置いてきてやる」と言っていた。

私にはなんで父がそんな事を言うのか分からなかった。

ただ怖くて悲しかった。

だから父を怒らせない様に、イラつかせないように、機嫌を伺ってばかりいた。


父はよくお酒を飲む人で隣人の父の親友(アレックス)とよく飲んでいて、その父の親友は優しい人だった。

怒った父を宥めてくれたり、私が殴られて泣いてると近くに来て抱っこしてくれたりした。


私はアレックスに懐いていた。

知らない場所で唯一優しくしてくれる人だった。


学校も私にとっては最初は楽しい場所じゃなかったから。

言葉も殆ど分からない私と仲良くしてくれる人はいなくて、先生にも怒られることが多かった。


私が学校に持ってってはいけないおもちゃとかを持っていってたからだったけど、その時の私はそれすら教えられてなかったから知らなかった。


文化の違い、習慣の違い、何もかも分からないところに放り込まれただけの私はどうすればいいか分からなかった。


父に何か言うと怒られる私は次第に父には何も言わなくなった。


その代わりに話を聞いて、色々教えてくれるアレックスに何でも話すようになった。


そんな状態で私の日本の生活は始まった。




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