4.読者はエンドレス・ケーキバイキングの真っ最中

 あれもこれもと詰め込みたくなる気持ちはよーくわかります。面白い要素は詰め込みまくりたいですよね。だって読者を楽しませたいんですから。それは素晴らしい考え方!


 でもね、考えてみてください。読者は常にケーキバイキングの渦中にあるんです。どこを向いてもおいしそうなケーキ(他の作者らの小説作品)に溢れている。えらばれるところからして大変な状況なんです。その中で、読者はパフェを求めてはいません。だって、ほかのケーキが食べられなくなるから。


 であるのなら、「私はこんなにおいしいんですよ、チョコが最高級品ですからね」とか「私はフランスで20年修行してきて店も持ってるパティシエによって作られたんですよ」とか「うちのマカロンを知らない? モグリだね!」とか、とにかく「〇〇が××だ」という文脈で紹介できなければ、誰も見向きもしてくれないってことです。パフェ好きにしか振り向かれたくないというのなら話は別ですが、ぶっちゃけパフェは難しいです。作者自身が満足・納得できるレベルのパフェって、大御所でも作れてるのか疑問。こと著名作品は読者的には大喜びなのでいいのかもしれませんが。


 逆にですよ「うちの〇〇は××だからぜひ手に取って」と言える作品は強い。宣伝文句とかじゃなくて、タイトルやキャッチでそれが出来てる作品はなお強い。長文タイトルってのもそういう生き残り戦略から編み出された技ですよね。作者名とかのブランド力で売る力がない(=殆どの作者)のなら「見てくれ(外見)」で勝負をかけるしかない。手に取ってもらえなければそもそもお話になりませんからね。

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