第9話 ケンタウロスの弱点
店の入り口に掲げられていたのは入店時の禁止事項が書かれた紙がコルクボードに画鋲で張り付けられていた。そこには騒音、長時間…と書いているが中でも気になるのが種族の禁止でケンタウロスが含まれていることに。
「すまんねぇ~ウチはケンタウロスお断りしてる派だから青銅蹄鉄であっても出来ないんだよ」
「どうしてダメなんです?」
「景観的に椅子に座らずに茶を飲むのが見慣れないからね。テイクアウトであれば受け付けるけど?」
ケンタウロスが座って茶を飲むということは席には居らずに自分の足を折り曲げてると尻を他の客席に向けて不衛生だと感じる人が普通の見方だ。これを隠せればなんとかなりそうなアイデアを頭の中で練りながらもテイクアウトをツヴァイの代わりに買いに終えると居なくなっていた。
青銅蹄鉄は迷子探しが仕事ではなく、いざという時はスリや強盗などに縮小された棍棒を使用して犯人と対峙するのだ。
『ハァ…ハァ…こいつは思っていた以上に強い』
人間とは体格も背丈も2倍くらいの差があるケンタウロスには致命的な弱点がある。
それはリーチの長い武器で戦うことが主流なために近接攻撃まで近づいてしまうと対応が出来ずに遣られることが多々ある。男はそのケンタウロスの弱点を突いてくるように身のこなしは軽くナイフで体や下半身を傷つけてはヒット&アウェイを繰り返してツヴァイをじわじわと消耗させていく。
「どうした?さっきまでの威勢は!」
「人間には負けるわけにはいかないのだ!!」
「懐に潜られたら終わりだけどな」
「舐めるなッ!!!」
ツヴァイは棍棒を回して距離を取るとスリの犯人に向けて棍棒を向けると同時に車のドリフトのように蹄から火花が飛び散り後方で付いた後、勢いよく体を180°反転させる。狭い路地などで対面する時に用いられる戦法である。
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