第8話 ケンタウロスと人間

「そういえば君の名前を聞いてないけど、聞いていいかな?」

「協力するとOKしたんだ。私の名前はツヴァイ・ゲルトレーベ、平民として生まれ青銅蹄鉄の一員として粉骨砕身の想いで働き貴族として成り上がった警備員の1人だ!」


「声量大きいな…なんでそんなに声が大きいの?」


 誇り高きケンタウロスのツヴァイは上から見下ろすようにログにケンタウロスの歴史について叩きこむ。


 ケンタウロスの歴史はエルグランドの古代まで遡り、移動民族として野や丘を転々と家事、狩猟、育児などを昔から行ってきた。男女に優劣など無いが結婚での立ち回りなどは慎重に物事を検討するように段階を踏んでいく。中でも足が速い者が最高にモテると筋トレに勤しむ時代を過ごしてきたが人間が渡来して国が建設されていくなかで住みかなどがどんどん失っていく現状に奮起したのが青銅蹄鉄の元祖と言われている。

「はじめ我々を汚らしい半獣と罵られてきたが、ある事件にかかわりを得て成果をあげてからケンタウロスのことを良く思うヤツが出てきたがまだまだ認知度が足りない」


「なぁ、そのある事件って?」


「エルグランドの王子様が難病を患ってしまうことだ。しかも猛毒の熱で3日以内に薬草を煎じて飲ませないと死ぬと言われているモノをケンタウロスが採りに行き、命懸けの末に助かり青銅蹄鉄が作られ今があるとその昔話として聞かされている」


 王城の門を出て入り口の中心に聳え立つのは昔話で難病を治した王子と若きケンタウロスに乗って駆けている銅像だ。タイトルに青銅蹄鉄の始まりと書かれており、青銅蹄鉄の語源としたのはその昔蹄鉄に使われる鉄が当時は少なく生成技術も確かではない為に安く簡単に生成出来る青銅の蹄鉄をしていたことから名付けられたのだ。


「その王子の子孫は代々我らケンタウロスを称えるお祭りを開催する行事が確立したと同時に半獣半人が世の中に認知され平等な社会を設立するのが我らの夢。アルバ国王もそう望んでいる…なぜ引き受けなかったのだ!」


「これは僕が自主的に始めたことだから簡単には受け入れられないよ。それに社会を平等にって言うスケールが大きすぎるから叶えられるかどうか――」


「出来る出来ないの問題ではない!

 自分の今できる力でなすべきことをすればいつか世界は変わっていく。尻込みをするのであれば、喝を入れてやろうか?」


「え、遠慮しとくよ」


 エルグランドの歴史にそんなことがあったとは感心するログ。

 資料として魔物たちの生態についての本を読み漁って知識を付けていたがドワーフ王国の王様やケンタウロスの団体に協力する者などと抱える物が段々と大きくなり、遊びに行くついでに情報を会得しようと考える。


 しばらく街道を歩いていると腹の虫が鳴り響く。

 ちょうどいい所でカフェを見つけたので入ろうとするもツヴァイは眉を顰める。


「やはり食事処ではこのような仕打ちは仕方ないのか」

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