第7話 文書の応用

 青銅蹄鉄の拠点キャンプ内に現れたのは身長130㎝のサンタクロース並みの白く長い髭を嗜むもバイキングのような甲冑を被っているのはドワーフ王国の王様、ドムスアルバ王。この身なりで最前線で笑いながら戦う王様で有名である。




「アルバ国王陛下だと?!何故我らケンタウロスのキャンプ内に…それにあなたがここにいては困ります、一刻も早いお取り引きを」




「待て、私は彼に話があるから道を開けてくれるか?」


「この少年にですか?話くらいならいいですが…」




 ちょこんと座っているドワーフ王国の王様を人間目線では年老いた子供のように見える。


 が、手の甲は筋肉質で何かを握った痕跡があるようで、ログもただのドワーフ族ではないと見抜いていた。




「君がログ君かい?オレゴンから話は聞いているよ」


「え?あなたがオレゴンさんの話していたドワーフ王国の王様なんですか?」


「そこまで知っているのなら話は早い。彼のことを助けてくれて感謝するよ」




 同時刻


 ログがケンタウロスの警備員に連れ去られた後、オレゴンは待ち人が来ないことに焦りを感じていた。それを心配していたアルバ国王が話を聞いてログとこれまでのことについてを知りえて感心する。




「しかし助かったよ。オレゴンはずっと1人で研究していたし、こっちも連絡が取れなくて精神的にも参っていた時に君が来てくれたんだから改めて礼を言うよ」




「僕はただドラゴンを調べたいと思っていたので」




「発表会は終わってしまったが“ありがとう”と感謝の意を上げていたよ。そのことを皆で話した後で君に重大な任務を任せてもいいかな?」




 アルバ国王取り出した文書には種族等の連携強化を上げて人間との共存共栄社会を目指していこうというポスターである。ケンタウロスのように人間に対して協力的な種も居れば、略奪や殺しで生を実感する闇に蠢く辞書にも載せていない魔物で現在光と闇で分かたれている社会を1つにするためにはお互いの種族生活や生態などを書き留めて情報を確保する。相手方の特性を知ることが出来れば国境を決める、自給自足の生活を成立することを目標にドワーフ王国の王様は社会の統一共生を夢見ているのだ。




「我らドワーフ王国の敷地面積はエルグランドの中でも1番だ。昔は魔物の群れが頻繁に宣戦布告をしてくるから迎撃してはいたが、ワシらも年には勝てぬ。そこで白羽の矢が立つのがお主である。君には魔物たちの今どきの生活などを書き留めて情報化のお願いをしたい、引き受けてくれるか?」




「え?あの、嫌です」




「そこはハイと答えるべきだろうが…国王陛下直々の依頼をなぜ拒否する?」




「これは僕の少し得意なことただやりだしたことだから


 ホイホイ受けるわけには行かないし」




 アルバ国王は少し考えた後で依頼を引き受ける試練を受けねばと思い、令状に書き加えたのは王都祭で担当しているケンタウロスの警備員を調査せよと変更された。頭を悩ませるログとケンタウロスの警備員は渋々、判を押した。


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