第11話祭りの準備⑤

アリスが帰り、ご飯を食べ終え自室で暇にしていると、金髪の少女が部屋の真ん中にやってきた。




「さぁ、行くよ……世界の中心に!」




今から祝福か……どんな事をするんだろう?




「普通で良いよ……多分すぐ終わるから」




何で多分なの!怖くなってきたんだけど……大丈夫だよね!




「それは拓人君次第だよ」




いや、そんなふうに親指を立てられましても……というか、何で祝福が俺次第になるんだろう?




「まぁまぁ、気にしないで……じゃあ、しゅっぱぁっつ」




え、ちょ……何で俺の腰をホールドしてるの。




「はぁぁぁぁ!またかよぉぉ!」




そして俺は、アリスに空から世界の中心に向かって運搬された。










「はぁはぁ、いい加減学んでくれませんかね、アリスさん」




アリスによって俺は、女神様達が住まう場所に飛んできた。




「まぁまぁ、気にしないで、それよりも……来たよ」




アリスの目線には、純白の法衣に身を包み、青色の髪を首まで伸ばしている女性がやってきた。


もしかして、この人が俺に祝福をしてくれるのかな?




「こんにちは、アリス……そこの人間は?」




「こんにちは、私は大武拓人と申します」




名乗ってのはいいが、そこで目の前の女神様は何かを考える仕草をした。




「もしかしてアリス、この人間が」




「まぁ、そうだね……祝福をしてもらう子だね」




「このような人間に、キャロライン様の」




何故か睨まれた……というか誰?キャロライン様?




「まぁ、良いわ……最後の判断はキャロライン様が行います、それに異論はありますか?アリス」




「いや、無いよ」




何か、受ける本人の俺が置いてけぼりな気がする。




「では、キャロライン様が住まう場所に向かいます」




目線が付いてこいを語っている……何で俺を見る目が仇を見るような目なの?




「ねぇ、アリス、俺何かあの人にした?」




「拓人君は特には何もしてないけど……まぁ、祝福を受けようとしてる人が、まぁまぁ偉い人だから、警戒してるんだよ」




まぁ、それなら良いけど……どうしても不安感を拭う事ができなかった。




「あ、あの」




「はい、何でしょう?」




顔は笑ってるけど、怖い……絶対に生物ができない笑顔だ。


凄く整った顔をしている人に笑みを向けられたら、普通は何か自分の中で起きる気がするが……今は冷や汗しか出てこない




「私が祝福を受ける方は一体どのような方なのでしょうか?」




そこで、案内役の女神様が驚愕の表情を浮かべる。




「ま、まさかアリス……教えていないのですか」




そこには、先程までの仇を見るような顔から打って変わって、青ざめたような顔を浮かべていた。




「どうせなら、本人の口から言わせたほうが、威厳が保てそうな気がして」




全てを聞き終えると、何故か肩を掴まれた。




「あ、あの」




「拓人さんも苦労が絶えないと思いますが、あんな魔族に気に入られてしまったので、諦めてください」




一体何の事を言っているのか分からなかったけど、名前を呼んでくれたりと少し、女神様と仲良くなった気がする。




「あ、あの女神様」




「少し待ってください、その呼び方を辞めましょう」




「もしかして、女神様と言う事ですか?」




「えぇ、貴方のことは、個人的に少し気に入りました、ですので、名前を呼ぶことを許可します」




「あ、ありがとうございます?」




何か、女神様に気に入られたらしい……アリスの方を向いても、驚きの表情を浮かべてるだけで、アリスもこの事は把握していなかったらしい。




「ですので、私の事はグロリアとお呼びください」




「わかりました、グロリア様」




「様も不要です」




「し、しかし」




「様も不要です」




「わ、わかりました」




まさか、おんなじ言葉をループする人に出会う事があるなんて思わなかった。




「では、私の案内はここまでですので、あと、アリスはここに残ってください」




「わかったよ」




何故かアリスも一緒にグロリアさんと一緒に残るみたいだ。




「では、行ってきます」




「頑張って拓人君、多分君なら大丈夫だから」




やはり多分という言葉が着くと不安レベルが一気に上る。




アリスから応援?を貰い俺は、目の前の扉に向かって進んでいった。


というか、何で俺はラスボス戦みたいな雰囲気が出てるんだろう。
















拓人が扉に入ったのを確認したアリスは、グロリアに確認をとる。




「何で私はここに残らないといけないの?できるならタクトくんに付いて行きたかったんだけど」




「貴方が付いていったら、キャロライン様が祝福をしなかった場合、殴りかかりますよね?」




そこで、アリスは言葉を失う。


キャロラインが拓人に祝福をしない……そういう事をアリスは考えたことが無かった。




「わかったよ、でも、拓人君は祝福を受けてから帰ってくるよ」




「それは、キャロライン様次第です」




「そうだね」




扉の前には、拓人の帰りを信じる、一人の魔族がいた。


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