第8話祭りの準備②

何処に行こうかな、メアリーさん達が普段行くような所は金額がお高めで、貴族御用達で、流石にもらってすぐにそんな大金を使うわけには行かないし……あれ、ここにこんなお店在ったっけ?




俺が扉に手をかけ、扉を押すとそこには、黒髪ポニテの小さい子がそこにはいた。




「大丈夫?もしかしてお留守番?」




「み、水を……そして肉も」




こいつ、さては凄い元気だな……焼き鳥買ってくるか。


俺は弱ってる奴に少し弱いらしい。




「ぷはぁ〜助かりました……このお肉ももらって良いんですか?」




水を飲んだ子が復活して俺の持っていた焼き鳥を奪い去っていった。


やっぱこいつ元気だっただろう。




「にしても、君はこんなところで倒れて何をしていたのかな……もしかしてお留守番?」




「違います!私が店主です〜」




少し不貞腐気味に文句を言ってきた……いやどう見ても小学生位にしか見えない。




「小学生にしか見えないという表情ですね……そうですよ、何故か私だけ伸びませんでしたよ!」




何か複雑な心情を感じる……大変だったんだな、頑張れ!




「いや、頑張れじゃ無いですよ!、もう何歳だと思ってるんですか!」




しれっと心の声を読むなよ……読まれてないよね。試してみようかな……年齢は十三歳だって、絶対にそうだって身長的に考えても!




「な〜に〜が十三歳ですよ!どうせ私はチビですよ〜だ」




「やっぱ心の声読んでるよね!何、そんなに顔の出やすい俺?」




「何ていうんですかね、何か分かるんですよ、というかお客さん異世界人ですよね?」




凄いな、まさか俺が異世界人と分かる人には初めて会った気がする。もしかして俺も頑張ったら人の心の声が当てられたりしないかな?




「多分無理じゃないですかね?お客さん人以上に顔に出やすいし、わかりやすいから」




マジか……やっぱり俺は顔に出やすかったのか、ちょっとショック。




「そんなに落ち込まないでください、あ〜何か欲しくてこのお店に来たんですよね?」




そう言えば、本当の目的を見失うところだった。




「実は、グリュック王国を挙げてのお祭りがありまして」




「もしかしてお兄さん祝福を受けたんですか!いや、異世界人なら来てすぐに受けるかしかし、三年前にやってきた筈……お客さん何者?」




どうしよう、この世界に警察官から追われてた途中に迷い込んだなんて言えない。




「いや、あの、えっと〜」




下手すぎるだろ俺!




「まぁ、良いですよお祭りの名前は王国祭と言って、その王国祭は全三日行われてて、それぞれ狩猟、採取、宴の三つになってるんですよ」




何かスルーしてくれたこの店主もしかしてら優しいのかもしれない……初対面の強烈さが無かったら幾分かマシになってる気がするけど……というか王国祭?それ凄い重要な気がするんだけど、なんて物に誘ってるの?アリスそして、すぐにオッケーを出さないでしょメアリーさん!そもそも王国祭は三日ということも初めて知ったんだけど……絶対に狩猟は無理だな。




「そうですね、お客さんにはそういうのは向いてないでしょうねですから、普通に採取に向いてる靴とかを見繕いますね」




「お願いします」




そうして、いくつか採取に向いてる物を見繕ってもらった。


というか、数が凄く多い気がするんだけど……これ金貨十枚とか行かないよね?




「まぁ、この店にある採取に向いてるものはこれくらいですかね?」




そこには、靴や、ナイフに、上着まで、とりあえず採取したいならこれを持っておけ、と言わんばかりに初心者セットが並んでいた。




「これたくさんあるけど、全部でいくらなの?」




「合計銀貨九枚くらいですかね?」




や、安すぎる……こんなに良さそうで安いなんて生活していけてるのかな?




「大丈夫?生活できてる?」




「いえ、できておりません……じゃないとお客さんとの初対面で倒れてたりしてませんって」




確かにこいつ、初対面で倒れながら強請って来たぞ……案外大丈夫なのかもしれない。




「そんな訳無いじゃないですか……次食べれるのがいつかを今心配してますよ」




こんないいいお店で、いい品物も沢山在って何で売れないんだこの店?




「さぁ、なぜか皆私を見た後二帰っていってしまうんですよ」




それはお前がぶっ倒れてるからだ!




「しょうがないじゃないですか、食べるものが無いんですから」




何故だろう、こいつがあまりにも不憫な気がしてならない……しょうがないか。




「おぉ、やっと決心を決めたんですね?」




こいつ、はじめから俺が何をするか分かって待ってやがったな。




「そうだよ、お望み道理、はい金貨一枚」




「お釣りは?」




目を輝かせながら見るな、どうせ分かってるんだろ?




「釣りはいらねぇ」




「きゃ〜カッコいい、惚れちゃう〜」




「いや、それは良いかな?」




「何でですか!」




そうして俺は、金貨一枚分のお買い物をした……大丈夫、これで金貨一枚は安い、何なら他のお店では足りない筈だ……一様帰り道で確認していこうかな。




道端に在った店に俺は立ち寄った。




「すいません〜少し聞きたいことが……?」




人の気配を感じないし、感情も聞こえてこない……何だここ?




「いや〜一日で二回もお客さんが来てくれるなんて有り難い話ですよ」




そこにいたのは、黒髪ポニテで白のブラウスに黒のワンピースを身に着けた先程の店主のソックリさんだった。




「いや、ソックリさんじゃないですよ、本人です」




いやだって、もし俺がここに来てから来るなら俺が出てからすぐにこの店にやってこないと行けない筈だけど、こいつ俺がここに来てからやってきやがった……何者だ。




「何か考えてますけど全部ちがいますよ?」




違ったのか……ちょっと恥ずかしい。




「実は私は店を何個か持ってるんですけど、その店には私が暇なときでお客さんが来たら、そこに転移する魔法陣を組み込んでるんですよ」




な、なんて限定的な使い方なんだ、そんなの普段が暇じゃないと使い道なんて無いだろ!




「えぇ、無いですよ……しかし私にはこういう魔道具も使いこなせるんですよ」




ただ暇なだけだろ。




「おっしゃる通りです」




「どうしようかな、来てすぐ帰るわけには行かないけど……買うものは買ったし」




「じゃあ、少し雑談でもします?」




確かに、お互いに名前は知らないし……良いかもしれない。




「分かった、じゃあそれで」




「わかりました、では奥に来てください、一様ここは店内ですから」




そう言われて連れてこられたのは広々としたリビングだった。




「お前、こんなに立派な所に住んでたのか」




「と言っても拡張魔法で広げてるだけなので、外からは見えませんけど」




にしても広い、俺の住んでいた部屋よりも広い気がしてきた。




「では、飲み物を出すので、何か飲みたいものがあったら言ってください」




「じゃあ、コーヒーで」




「わかりました」




通ったよ、コーヒーこの世界では意外とマイナーの飲み物なのに通ったよ。




「ねぇ、絶対に貧乏じゃないよね?」




「貧乏なんです、これはいつか誰か来るかもしれないから買っておいたやつです」




やっぱこいつはなんだか悲しくなってくる。

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