第6話魔法って凄いや
俺が異世界に来てから一週間が経過した。
「今日はここまでだね」
「あ、ありがとうございます」
何をしているかというと、先日の街案内から毎日魔法の練習をしていた。
「多分そろそろだと思うよ、魔法が使いこなせるようになるのは」
「ほ、本当に!」
魔法の適性や魔力量は才能だけど、その魔法を発展させるのは、その人の発想力次第らしい。
だから、どれだけの魔法や魔力量を持とうが、行けるのはそこそこであり、強くなるには発想力が必要不可欠らしい……でも、俺が戦うことってあるのかな?
「ねぇ、アリス今気づいたけど、俺が戦うことってあるのかな?」
「う〜ん、もしかしたらあるかもしれないけど、多分無いかな?でも、もしもってときもあるし……はい」
「なにこれ?」
アリスの手には白色のピアスがあった。
「これはね、拓人君を守るために作ったものだよ。これには防御魔法が埋め込まれてて、それが発動したら私に連絡が来るようになってるんだ」
それは有り難い、有り難いけど
「俺、ピアスの穴とか空いて無いんだけど」
「大丈夫、今から私が開けるから」
そうして、アリスの手が俺の耳に伸びてきたが寸前のとこで逃げた……と思ったけど、身体能力が違い過ぎで、逃げれなかった。
「大丈夫、魔法で開けるから痛くないよ」
その声は子供あやすような優しい声だった……でも怖い!
捕まってから四十秒ほどが経過した。
「ま、まだ?痛覚が来ないんだけど?」
「もう終わってるよ」
え?皮膚科でも痛いと言われてる物をこんなにもあっさりと……魔法って凄い!
耳を触って見ると本当に穴が開いてたけど、何で片方しか開いてないの
「ねぇアリス、何で片方しか開いてないの?」
「これはね、片方身につけるだけで効果を発揮して、両耳身につけると……効果が強過ぎて、体が弾け飛ぶ」
怖!なんて物を作って渡してるの!
「でも、実はもう一個作っててね……はい」
そこには、俺と同じ物をアリスが持っていた。
「これは受信機みたいな物で、これを身につける事によって拓人君が襲われたっていう情報が私に来るようになったよ……それに、おそろいだよ」
「!?」
はにかんだような笑顔をしながら、同じものを身につけるアリスがいた。
「で、でもこれ、外してる時に襲われたり、外したくなったらどうするの?」
「大丈夫、もう拓人君から外れなくなったけど、これが酸化したり、痒くなったりしないし、付けてるって感覚が無いでしょ?」
確かに、何かを身に着けてるという感覚が全くない……やっぱ凄いや魔法。
「話は変わるけどさ」
「?」
「お祭りって行くの?」
「祭り?」
なんと、三日後に夏祭り的な物があるらしい。
「そうなんだね、にしてもこの世界は夏祭りが早いね、少し熱いとはいえ、まだまだ過ごせるでしょ?」
「今がこの世界では一番熱いんだよ」
マジか、やっぱあっちの世界は地球温暖化が進んでるということかな?
「で、どうする?お祭り行く?」
「どうしようかな?……アリスって行けないの?」
もし行けるなら、それが一番良いけど。
「ごめんね、私も行けたら良かったんだけど、その日は少し忙しくてね」
凄く申し訳無さそうに謝ってきた……そんなに、思い詰めなくても。
「分かった、じゃあ、メアリーさんに聞いてみて、行けるなら一緒に行ってみようかな?」
それにしても、何でこんな話を振ってきたんだろう?
「何でこんな話を振ってきたの?」
「ん〜何でって行ったら、そろそろ祝福をする時期だと思ったからね」
祝福?何で俺が?
「このお祭りは、女神の祝福を受けた人しか入れなくて、もし行くなら、私の方から手配してあげようと思ってたからね」
女神の祝福を手配できる魔族ってなんだろう?
「せっかくだし、お願いして良いかな?お祭り楽しんでみたいし」
「分かった〜じゃあ、祝福は二日後で夜迎えに来るから」
そう告げて、アリスは慌ただしく帰って行った。
世界の中心、女神たちが住まう場所にアリスはやってきていた。
「と言う訳で、なんとか祝福をしてくれないかな?」
アリスがお願いしていたのは世界の神……キャロラインと対峙していた。
「私がその人間に祝福して、この世界に何が起きるんですか?」
そう、キャロラインは世界の神であると同時にこの世界を管理する調停者の役割も担っていた。
「この世界で死ぬ人間の数が一人減るし、私と戦わなくて良くなる」
「ふむ」
この世界は、祝福が無かったら死ぬほどのウイルスが存在しており、通常は生まれた瞬間に祝福を受けるのだが、当然例外がいる。
それが異世界人である。しかし、召喚することが分かっていたら、そこに事前に祝福が発動するようにしておけば良い。しかし、拓人は正式な手順を踏んでおらず、現在はいつウイルスで死んでもおかしくない存在だったが、現在はアリスが守っている。
しかし、毎日やってきてアリスが結界を貼ることは不可能なため、それを得意とする女神のトップに君臨するキャロラインに頼み込んでいた。
「わかりました、しかしこれで貸し一つですからね」
「わ、わかったよ」
「にしても、一人の人間のために私に頼みに来るなんて、その人間の事を気に入ってるんですね」
「そうだね、きっとキャロも気にいるよ」
「その呼び方は辞めてといつも行ってますし、それは自分の目で見て決めます」
「相変わらず連れないな〜」
そのまま、世界の中心で談笑を行っている二人がいた。
そして同時刻、誰に祝福されるか知らない拓人は、ベッドの上で寝る準備を始めていた。
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