第4話 白石 彩花 2
今日は入学式の次の日ということで授業は、大体の授業がオリエンテーションらしい。この時間で友達1人や2人ぐらい作っとけよという先生たちの思惑を感じる。
とは言っても昨日の親睦会で大体の輪が形成されている。まぁみんなそこまで自分たちのグループに馴染んでいる様子はないが。この時間で友達を作ろうとする人は、昨日親睦会に行ってなかった人たちだけくらいだろう。
まぁそんな事はどうでもいい。俺にとって重要なのは、いかに無気力系男子を演じれるかどうだ。このオリエンテーション、無気力系男子ムーブをするのに絶好なタイミングではないか!
より一層グループ間での仲を深めたり、友達を作りに必死な連中がいる中、それをものともせず窓の外を眺める。自分に話しかけて来る連中がいるなら顔色ひとつ変えず短いやり取りで済ます。なんていい無気力系男子ムーブなんだ!!
1時間目は現代国語。内容は周りの人と会話をして、コミニケーションを取りましょうというものだった。ただの雑談。オリエンテーションにしてももっとやることあっただろうと思うが仕方ない。
早速周りは自由に雑談していた。そんな中、隣の白石さんが話しかけてきた。
「瑛二くん!さっきはお話途中で終わちゃたから、何かお話しようよ!」
「ああ」
「瑛二くんは、さっきから冷たいね。私に興味無いの?」
と上目遣いで話かけてくる。やはり彼女は自覚してやっているな。俺と同じで演じてる。
「興味無い訳じゃないよ。」
「じゃあ、なんでそんな無愛想なの?」
「これが俺だから」
「へぇー、そうなんだ」
なにか一瞬白石さんの目からハイライトが消えたような気がした。大体察しがつくような気がする。彼女も彼女で苦労しているのかもしれない。
その後は、白石さんも話かけてくることもなく、外を眺めているだけであっという間に午前中の授業が終わった。
そして昼休み。俺は無気力系男子ムーブをするべくある場所へ向かう。その場所とは、そう中庭のベンチ。本来ならここは屋上だか、ここの学校は屋上が禁止らしい。
なので、やむを得ず、中庭のベンチの中でも目立たない所に座ることした。そして母が作ってくれた弁当を食べる。
そして空を眺める。俺は無気力系男子ムーブを抜きにして、空を眺めたり、学校から見える景色をみるのが普通に好きだ。ゆっくりとできてどんな無気力系男子ムーブをするのかを考える。それがとてもいい。そんなことを考えていると、
「こんな所でご飯たべてるの?」
なにやら聞き覚えのある声がしたとおもって振りみいて見るとやはり白石さんだたった。
「1人でゆっくりしたいタイプだから」
「私も一緒に座っていい?」
「・・・話、聞いてた?」
「もちろん。でも1人じゃあ寂しいでしょ?」
「好きにしたら」
「わかった!好きにするね!」
と俺の隣に座ってきた。彼女はいったい俺に何を求めているのだろうか?はじめましての人ここまで執着するだろうか?なんで俺なのか?といろんな疑問が浮かんできた。なので聞くことにした。
「白石さん、なんでそんなに俺に構うの?」
「なんか瑛二くんって不思議な感じがするの。私ってこう見えて周りから結構言い寄らることが多くて、正直男の人ってあまり好きじゃなんいだ。でも瑛二くんは、私から話しかけても興味無い感じで接してくるじゃん?だから他の男人は違うから気になって話しかけてるんだよ。」
これは!俺の無気力系男子ムーブが白石さんに刺さってる!その事は嬉しいだが、この質問を聞いて、さらに白石さんについての疑問が深まる。
白石さんは男があまり好きじゃないと言いながら、白石さんから別の男子生徒に話しかける所を結構な頻度で見かける。やはり白石さんはなにかを演じているような気がする。
そうなれば白石さん自体には俺の無気力系男子ムーブが刺さって無いことになる。それでは意味がない。そんな事を考えていると昼休みの終わりを知らせるチャイムがなった。
「ごめんね?急に話しかけちゃって。あんまり話せなかったけどまた話そうね!」
とすぐどこかへ行ってしまった。本当に何しにきたのだろうか。そんなことを考えながら、昼休みの後にある10分の授業準備の間に残った弁当をたいらげる。急いで後片付けを済まし、教室にもどる。そして教室で次の授業の準備をしていると、
「おい、神田!さっき白石さんと何、話してたんだよ?」
と小河率いる一軍の陽キャグループに絡まれた。俺一軍に認知されてたんだ。てっきり名前すらおぼえられてないのかとおもった。
「あーなんか職員室はどこかって聞かれただけ」
「の割にはベンチで2人して座って話してたじゃねぇか。」
「それな、」
「お前やめとけって小河が狙ってだからよぉ」
と次々と話しかけてくる陽キャの人たち。いかにも金魚のフンだな。肝心な小河はだんまりだ。めっちゃ睨んでくるし。めんどくさいから早めに話しをおわらせよっと。
「狙ってないけど。小河なら告れば一発だろ。俺は本当に話しかけられただけだから。頑張って小河。」
「当たり前だろ。俺なら告れば一発で付き合える。もう時期告る予定だ。だから邪魔すんなよ。」
「分かってるって。授業始まるから席戻るわ。」
と言って適当に話しを終わらせた。小河は単純だな。まぁいいか。俺には関係ないことだ。
午後の授業も外を眺めていると授業が終わった。午後の授業は普通の授業で高校の内容を勉強した。
俺は高校で何の障害もなく無気力系男子ムーブを演じるため、中学校の頃から高校の勉強を参考書などを用いて高校3年までの内容を寝る間も惜しんで終わらせといた。なので高校の授業は別に受けなくてもいい。しかし無気力系男子は大体が普通の一般生徒なので俺も普通生徒を演じることにした。
そして何事もなく学校が終わった。いつもの如く電車に乗りながら無気力系男子について考えながら帰るのだった。
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